#53【公正証書遺言 × 生命保険】 妻の生活も、子どもの公平性も守れる“効果的な組み合わせ

01相続・遺言

こんにちは。
兵庫県(神戸・尼崎・伊丹・宝塚・西宮・川西・猪名川)を中心に活動している、
終活(相続・遺言・後見等)の専門家・行政書士 小田晃司です。

相続のご相談で、よくこのような言葉を耳にします。

「遺言を作っておけば、家族が揉めないんですよね?」
「遺産分割協議って、そんなに大変なんですか?」

はい。
公正証書遺言があると、家族の負担は圧倒的に減ります。

遺言があることで、

  • 故人の意思がそのまま反映される
  • 「誰が何を相続するか」が明確になる
  • 遺産分割協議書の作成が不要
  • 手続きがスムーズで争いが起こりにくい

といった、非常に大きなメリットがあります。


しかし——
ここで見落とされがちな問題があります。

現金が足りなくなる家族が比較的多い

相続財産の多くが「不動産」といったケースは珍しくなく、

  • 現金が十分ではない
  • 兄弟間で公平な分け方がしにくい
  • 結果として不満やトラブルにつながる

ということはよくある話です。

相続は“現金の不足”がきっかけで、複雑さが一気に増します。

そこで力を発揮する方法の一つが、
生命保険 です。

生命保険には、
「確実に現金を残す」 という、ほかの財産にはない強い特徴があります。

つまり、相続を考えるうえで

「公正証書遺言 × 生命保険」

この組み合わせは、相続で生じやすい“現金の足らず”を補う、極めて現実的かつ効果的な備え、ということが言えます。

今回紹介する事例①は、この仕組みが最も美しく機能するケースです。


【事例①】

妻の生活を守りつつ、息子たちにも公平に支援したいケース

(遺言 × 生命保険の最適設計)

家族構成

  • 夫(80歳で逝去)
  • 妻(74歳・健在)
  • 長男(近所に住みサポート)
  • 次男(遠方で独立)

夫の財産(合計 4,500万円)

財産の種類 金額
自宅 1,500万円
現金 1,500万円
証券 500万円
生命保険(死亡保険金1,000万円) 1,000万円

生命保険の背景

今から15年前、夫は65歳の時に

「自分が亡くなった後、現金が不足すると妻が困るだろう」

と考え、一時払いで500万円を退職金を使って支払い、
死亡時に1,000万円が受け取れる生命保険に加入していました。

この“確実に現金として残る1,000万円”が、
後の相続で大きな役割を果たします。


夫の願い

夫が大切にしていたことは二つ。

① 妻の生活が今後も守られること

② 長男・次男の双方を平等にサポートすること(公平性)

自宅は妻が住み続ける以上、妻に相続させるのが自然です。
ただし、このままの現金だと妻に残すのが精一杯で
兄弟にあまり残すことができない。

そこで夫は
公正証書遺言 × 生命保険
で最適なバランスを設計しました。


 遺言と保険を組み合わせた“最適な分け方”

【妻に残した財産】

  • 自宅:1,500万円
  • 生命保険(現金):1,000万円
  • 証券:500万円

妻:合計 3,000万円

自宅・証券(500万円)に加え、1,000万円の保険金、これに加えて妻自身のこれまでの貯金と年金があるため、まず老後は盤石なものとなりました。


【長男に残した財産】

  • 現金:750万円

長男夫婦は近くに住んでおり、適宜両親の様子を見に行っていました。孫たちは高校と中学生でお金がかかる時で、長男夫婦にとって現金750万円のサポートは本当にありがたいものとなりました。


【次男に残した財産】

  • 現金:750万円

次男は遠方に住んでいるものの決して家族仲が悪かったわけでなく、ずっと親のことは気にしていました。近くに住む兄に両親のことを任せっぱなしで申し訳ないと思いつつ、この度の相続では自分にも分け隔てない相続となり大変ありがたいものとなりました。


この設計が美しい理由

  • 妻:自宅+保険金で「住まい」と「生活資金」が十分確保
  • 長男・次男:現金で完全に平等
  • 不動産は妻へ → 争いが起きにくい
  • 現金の不足は生命保険が補う

まさに、遺言と生命保険の組み合わせだからこそ実現できた“理想形”です。

*相続税については次のブログでご説明します。


家族の反応

公正証書で遺言執行者になっていた私は、すべての相続手続きが終わったとき、家族の皆さんから聞いた言葉がすべてを物語っていました。

長男

「公正証書遺言書に基づいて全部手続きをやってもらえたから非常にスムーズでした。実を言うと現金を自分にも用意してくれていたのは意外でした。本当に助かります。」

次男

「私も全部母にいくものと思ってましたから、こんなにもらえるとは。しかも、兄弟で全く同じ額で不満があるわけないですよ。私も兄貴ばかりに迷惑かけられないので母のためにできるだけ実家に帰るようにします。」

「お父さんが全部考えてくれていたのね……。相続の手続きは大変だと聞いてましたが、行政書士が全部やってくれたので全くそんなことはなかった。息子たちもとても喜んでいるしお父さんに感謝です。涙」

公正証書遺言と生命保険が揃っていたおかげで、
家族全員が納得し、穏やかな相続となりました。


まとめ

相続をスムーズに成功させるには、
公正証書遺言書が必要です。

現金が足りなくなることが予想されるなら、
生命保険がその一助になると思います。

  • 遺言 → 財産の方向性・配分を決める
  • 生命保険 → 現金の足らずを補う
  • 両方を組み合わせる → “争いのない相続”が完成する

特に今回のように

「妻の生活を守りながら、子どもたちも平等にサポートしたい」

というケースでは、
遺言 × 生命保険が有効な組み合わせではないでしょうか。

公正証書遺言を作る際に、現金が足らなくなる恐れがある場合は
生命保険を検討するのも一つの有効な手段です。


 

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