こんにちは。神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
近年、「自分が亡くなった後のことが心配」というご相談が増えています。
特に、「家族がいない」「子どもに迷惑をかけたくない」「身寄りが遠方にしかいない」といった方からは、
「死後の手続きを誰かに任せておきたい」
というご希望を多くいただきます。
そうしたときによく登場するのが『死後事務委任契約』という方法です。
しかし、実際の現場を見ていると、この契約だけでは限界があると感じています。
一方で、公正証書による遺言書(公正証書遺言)を作成することで、
死後の手続き全体を法的に確実に進められるケースも多くあります。
今回は、「死後事務委任契約でできること」「公正証書遺言書でしかできないこと」、
そして本当に安心できる備え方についてお話しします。
1. 死後事務委任契約でできること
人が亡くなると、次のような“事務的な手続き”が必要になります。
- 役所への死亡届の提出
- 病院・施設への支払い
- 公共料金や家賃の精算
- 葬儀・火葬・納骨の手配
- 遺品整理や家の片付け
- 各種契約の解約・返却手続き
これらを信頼できる人(行政書士など)に任せるのが「死後事務委任契約」です。
本人が生前に「自分の死後の事務をこの人にお願いする」と契約しておくことで、
亡くなった後に誰も困らず、スムーズに手続きを進められます。
2. 死後事務委任契約だけでは「お金を動かす」ことができない
ただし、この契約には大きな制約があります。
それは――受任者(任された人)が“お金を動かせない”という点です。
死後事務委任契約は民法上の「委任契約」であり、法律上の代理権はありません。
そのため、銀行口座からお金を引き出したり、預金を解約したりする行為は、
契約書に書かれていても金融機関から拒否されるケースがほとんどです。
「亡くなった方の口座は凍結されます。委任契約では対応できません。」
――これは実務で非常によく聞く言葉です。
結果として、受任者は葬儀費用や清算費用をいったん立て替えるしかないという事態に陥ります。
この「お金を動かせない」という点が、死後事務委任契約の最大の限界ではないかと思っています。
しかし、ここに“例外的な活用の道”もあります。
もし本人の生前に、必要となる実費相当額を受任者が預かっておくことができれば、
死後事務委任契約だけでも一定範囲の事務を円滑に遂行できます。
たとえば、葬儀や納骨、家財整理などの費用として
20万円〜30万円程度をあらかじめ「死後事務費用」として預かっておく形です。
つまり、死後事務委任契約を機能させるカギは、
「お金を動かす権限」ではなく、「お金を確保しておく準備」にあると考えています。
3. 公正証書遺言書なら「お金を動かす権限」がある
一方、公正証書遺言書を作成し、「遺言執行者」を指定しておけば、
その人は死亡後に正式な法的権限を持って手続きを進めることができます。
遺言執行者には次のような強い権限があります。
- 銀行口座の解約・引出し・精算
- 財産の分配・寄附の実行
- 公共料金や税金の支払い
- 不動産や車両などの処分
つまり、実際にお金を動かすことができる存在が遺言執行者です。
この権限があることで、死後の手続きを法的に完結させることができます。
4. ただし、遺言執行者にも“お金の壁”がある
遺言執行者は法的に強い立場ですが、
現実には「お金がなければ動けない」という問題が発生します。
葬儀費用や納骨費用、施設・病院への未払金、遺品整理など――
どれも現金が必要です。
しかし、実際に遺言執行者が銀行からお金を引き出せるようになるまでには、
手続き上どうしても時間がかかります。
つまり、権限はあっても、即時に資金が用意できなければ実務が進まないのです。
このように、
- 死後事務委任契約は「動く準備(実費確保)」ができるが、法的権限が弱い。
- 公正証書遺言書は「法的権限」は強いが、即時に資金が使えない。
両者はまるで“表と裏”の関係にあります。
5. 両方を組み合わせることで“完全な備え”になる
| 観点 | 死後事務委任契約 | 公正証書遺言書 |
|---|---|---|
| 法的効力 | 委任契約に基づく | 民法上の効力(遺言) |
| お金を動かす権限 | なし | あり(遺言執行者) |
| 実費の事前確保 | 可能(預かり金) | 原則不可 |
| 実務の即応性 | 高い(すぐ動ける) | 権限発生まで時間あり |
| 信頼性 | 契約書次第 | 公正証書による強力な証明力 |
このように、両者にはそれぞれの強みと弱みがあります。
したがって、最も安心できる備え方は、
💡 「公正証書遺言書」と「死後事務委任契約」をセットで作成すること。
遺言書で法的な執行権限を与え、
死後事務委任契約で実費確保と実務の即応性を担保する――
この2つを組み合わせることで、制度上も現実上も完璧な体制が整います。
6. 行政書士としてのサポート
私は、これまで多くの方の「死後の備え」をお手伝いしてきました。
家族がいない方、遠方の親族しかいない方にとって、
「死後の手続きを正式に任せておける」という安心感はとても大きいと感じています。
- 死後事務委任契約の作成サポート
- 公正証書遺言書の作成サポート
- 遺言執行者・死後事務受任者としての引受
それぞれの方の状況に合わせて、
法的にも実務的にも最適な形を一緒に整えます。
7. まとめ
- 死後事務委任契約は、葬儀や精算など「やってもらうこと」を決める契約。
- ただし、お金を動かす権限はなく、実費を事前に預かっておく必要がある。
- 公正証書遺言書には法的な「執行権限」があり、実際に財産を処理できる。
- しかし、遺言執行者も即時に資金が使えなければ動けない。
- だからこそ、両方をセットで作成することが最も安心な備えとなる。
あなたの「死後の心配」を解消する第一歩は、
制度の仕組みを正しく理解し、今のうちに信頼できる人と準備を始めることです。
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