こんにちは。
神戸・尼崎・西宮・伊丹・宝塚・川西など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
遺言・相続・成年後見といった、いわゆる終活まわりのご相談を日々お受けしています。
今日は、公正証書遺言の作成現場で感じたことを、少し整理して書いてみたいと思います。
兵庫県内の公証役場も、電子署名が標準に
2025年11月25日以降、兵庫県内の公証役場では、公正証書遺言の作成方法が変更され、電子署名方式が標準となっています。
これにより、
- 印鑑は不要
- 署名・本人確認は電子的に行う
- 遺言の原本は紙ではなく、PDFデータとして保存
という形に変わりました。
制度として見ると、改ざん防止や長期保存の観点から、非常に合理的な変更だと感じます。
原本はPDFで140年間保存される
電子化により、公正証書遺言の原本はPDFデータとして140年間保存されることになりました。
紙の「原本」は存在せず、真正な原本は電子データです。
一方で、現時点では、
- 正本
- 謄本
については、これまでどおり紙で交付されています。
将来的には、銀行などの金融機関が電子署名の真正性を直接確認できる仕組みが整えば、
紙の正本自体が不要になる可能性もあるだろうと感じています。
電子化は「進化」だが、現場の負担は軽くない
制度としては前進している一方で、実務の現場では、
電子化によって手続きが簡単になったとは言い切れないのが正直なところです。
特に、
- 設定や確認事項が増えた
- 通信環境への依存が高まった
- 出張での対応が以前より難しくなった
といった点は、間違いなくあるだろうと思います。
公証役場で働く人たちも、これらの対応がなかなか大変だと言うのは
私の個人的感想として述べておきたいと思います。
電子化は避けられない流れですが、いまはまだ実務が完全に噛み合っていない過渡期なのだと思います。
高齢者にとっては、むしろ難しくなった面もある
もう一つ、強く感じたことがあります。
公正証書遺言を作成される方の多くは高齢者です。
その中には、
- パソコン操作に慣れていない
- 画面上での電子署名に強い不安を感じる
- 「何をしているのか分からないまま進む」ことに抵抗がある
という方も少なくありません。
これまでのように、
紙に署名し、印鑑を押すという方法のほうが、
直感的で安心感があった、という声も理解できます。
その意味では、
「制度は進化したが、利用者にとって分かりやすくなったとは限らない」
「前より難しくなったと感じる方がいる」
という側面は、否定できないと感じています。
電子化が進むからこそ、支援の重要性は増している
公証役場の電子化は、今後さらに進んでいくでしょう。
大きな流れとしては、間違いなく「前進」だと思います。
ただ、その途中にある今は、
制度の進化と、利用者の理解との間にギャップが生じやすい時期でもあります。
だからこそ、
- 事前の丁寧な説明
- 当日の進行サポート
- 本人がきちんと理解・納得して進められているか
こうした点が、これまで以上に重要になっていると感じています。
電子化が進む「過渡期」だからこそ、
人が寄り添う役割は、むしろ大きくなっているのかもしれません。


