こんにちは。
神戸・尼崎・西宮・伊丹・宝塚・川西など阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
先日、神戸で開催された「遺贈寄付」に関するセミナーに参加しました。
きっかけは、とあるクライアントの方から、遺言書の作成とあわせて「寄付も考えたい」というご相談を受けたことです。
自分自身の知識をきちんとアップデートしておきたいと思い、参加しました。
正直に言うと、それまでの私は、遺贈寄付について
「制度としては知っている」という距離感でした。
しかし、今回のセミナーを通じて、その捉え方が少し変わりました。
今日は、セミナーで聞いた内容と、
私自身が遺贈寄付・生前寄付のサポートを正式にサービスとして始めようと考えた理由について書いてみたいと思います。
セミナーで聞いた、いくつかの数字
セミナーでは、遺贈寄付を取り巻く現状について、いくつか印象的な数字が紹介されました。
たとえば、
- 相続人がいないまま亡くなった方の財産は、国庫に帰属する
- その金額は、直近2024年度では年間1,292億円
- この10年で約3倍に増えている(そしてこれはどんどん増えていく見込み)
一方で、
- 遺贈寄付として社会に還元されている金額は、年間約600億円
- 年間約150万人が亡くなる中で、遺贈寄付を行う件数は1,000件強
という現実もあるそうです。
つまり、
「おひとりさま相続」は確実に増えている
しかし、その多くが
何も選ばないまま国庫に帰属している
という状況です。
国庫帰属が悪い、という話ではありません
ここで、誤解してほしくないことがあります。
私は、国庫帰属が悪いと言いたいわけではありません。
国に帰属すること自体は、法律で定められた正当な制度ですし、
それによって社会が支えられている面もあります。
ただ、セミナーを聞きながら強く感じたのは、
「そうなるとは知らなかった」
「もし知っていれば、別の選択も考えたかもしれない」
という人が、実はとても多いのではないか、ということでした。
問題は制度そのものではなく、
選択肢を知らないまま人生を終えてしまうことなのだと思います。
遺贈寄付・生前寄付という考え方
遺贈寄付というと、
「亡くなった後に、すべての財産を寄付する」
そんな極端なイメージを持たれることがあります。
しかし、実際はそうではありません。
- 財産の一部だけ
- 無理のない範囲で
- 気持ちとして残す
こうした形でも、十分に意味があります。
また、今回のセミナーでは、
「亡くなった後」だけでなく、
生きている間に寄付を行う「生前寄付」という考え方についても紹介されていました。
生前寄付の場合、
- 自分の目で活動内容を確認できる
- 社会とのつながりを実感できる
- 状況に応じて見直すこともできる
といった点から、
「終活」というより、これからの生き方の延長として捉えている方も多いそうです。
士業が一言添えるだけで、結果が変わる
特に印象に残ったのは、
イギリスで行われたという実験の話でした。
遺言の相談が終わった後に、
- 何も言わずに終える
- 「資産の一部を社会貢献のため寄付するお考えはありますか?」と一言添える
- 「実際にそうされる方もいますが、いかがですか?」と伝える
このたった一言の違いだけで、
遺言や寄付を考える人の割合が大きく変わった、という結果です。
ここから分かるのは、
一定の割合の方は、
人生の終盤に、自分が蓄えてきた財産を
寄付という形で社会に役立てたい
と、もともと考えている、ということです。
「社会貢献したい。」
「恵まれない人たちへの一助となれたら。」
ただ、その考えが
言葉にされる機会がないまま終わっているだけなのだと思います。
私がサービスとして始めようと思った理由
私は、終活(遺言・相続・後見)を専門に仕事をしています。
日々の相談の中で、
- おひとりさまの方
- 相続人が限られている方
- 「最終的に自分の財産はどうなるのか」が気になっている方
とお話しする機会は少なくありません。
その中で、遺贈寄付や生前寄付は、
- 特別な人のための制度ではなく
- ごく自然な終活の選択肢の一つ
だと、今回あらためて感じました。
一方で、
- 不動産の扱い
- 寄付先との調整
- 遺言執行の負担
- 予備的条項の設計
など、簡単な話ではないのも事実です。
だからこそ、
「善意だけ」で進めるのではなく、
きちんと実務として支える役割が必要だと考えました。
無理に勧めるつもりはありません
誤解のないようにお伝えしておくと、
私は遺贈寄付や生前寄付を、積極的に勧めたいわけではありません。
あくまで、
「こういう選択肢もあります」
と、一言お伝えするだけです。
選ぶかどうかを決めるのは、
常にご本人です。
私は、その意思を整理し、
制度として無理のない形にするお手伝いをする立場でありたいと思っています。
最後に
遺贈寄付や生前寄付は、
人生の終盤に「何か特別なことをする」制度ではありません。
自分の人生をどう締めくくるか、
あるいは、これからをどう生きるかを考える中で、
静かに選ばれる選択肢のひとつだと思っています。
今後、当事務所でも、
遺贈寄付・生前寄付についてのご相談をお受けしていきます。
「今すぐ決めたいわけではない」
「まずは話を聞いてみたい」
そんな段階でも構いません。
ご本人のペースを大切にしながら、一緒に考えていければと思っています。

