こんにちは。
阪神間を中心に、相続・遺言のご相談を日々受けている行政書士の小田晃司です。
相続の相談をしていると、こんな言葉をよく耳にします。
「うちは財産なんて大したことないから、揉めないと思うんです」
しかし、この認識は統計データによって完全に否定されています。
今回は、最高裁判所が公表している「令和4年司法統計年報(家事編)」をもとに、
「相続トラブルの本当の姿」を数字で見ていきます。
相続トラブルの現実
実は「普通の家庭」で起きている
家庭裁判所で扱われた遺産分割事件のうち、
認容または調停が成立した件数は 6,858件。
この内訳を遺産額別に見ると、驚くべき結果が出ています。
遺産5,000万円以下が全体の約76%
5,000万円以下のケースは 5,231件。
全体の約4分の3を占めています。
遺産1,000万円以下でも約33%
さらに注目すべきはここです。
遺産1,000万円以下が2,297件。
つまり、
相続トラブルの約3件に1件は、遺産1,000万円以下の家庭で起きている
ということになります。
「相続で揉めるのは資産家だけ」というイメージが、
完全な思い込みであることが分かります。
なぜ「お金持ちではない家庭」ほど揉めやすいのか
この背景には、はっきりした理由があります。
① 遺産が「分けにくい」
少額の相続では、
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預貯金はわずか
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主な財産は「自宅不動産のみ」
というケースが非常に多くなります。
現金が十分にあれば代償金で調整できますが、
それができないため、
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売るのか
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誰が住むのか
-
誰がいくら我慢するのか
といった問題が噴き出し、感情的な対立に発展します。
② 「うちは大丈夫」という油断
高額資産家ほど、生前から
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遺言書の作成
-
専門家への相談
を行っています。
一方で一般家庭では、
「揉めるほどの財産じゃない」
と対策をしないまま相続が発生し、
結果として家族同士が裁判所で争うことになるのです。
結論:相続対策は「一部の人」のものではない
司法統計が示しているのは、明確な事実です。
相続紛争の主戦場は、1,000万円〜5,000万円の層
つまり、
ごく普通の家庭こそ、相続対策が必要なのです。
遺言書は「お金持ちのためのもの」ではありません。
家族を争わせないための、最後のメッセージです。
もし、
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子どもが複数いる
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自宅不動産がある
-
「うちは大丈夫」と思っている
どれか一つでも当てはまるなら、
一度立ち止まって考えてみてください。
出典
令和4年 司法統計年報3 家事編(最高裁判所事務総局)
第52表「遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(分割をしないを除く)」


