#49 空き家をどうするべきか? ― すでに空き家を相続してしまった人が抱える課題と、最初にやるべきこと ―

01相続・遺言

こんにちは。
兵庫・阪神地域(尼崎・伊丹・西宮・川西・猪名川など)を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
今回は、「すでに空き家になってしまっている家をどうすべきか?」 というテーマでお話しします。

最近、
「親が亡くなり、実家が空き家のままになっている」
「兄弟で意見が合わず何も進まない」
「固定資産税だけ払い続けている」
という相談が本当に増えています。

空き家問題は“相続”から始まりますが、
一度空き家になってしまうと、そこからの管理・処理が本当に大変です。

この記事では、空き家のリスク、自治体の現場で起きていること、そして実際にやるべきことを整理してお伝えします。


■ 1. 空き家を相続した人が直面する現実(6つの問題)

① 誰も住んでいないのに税金がかかり続ける

空き家でも固定資産税は必ずかかります。
さらに老朽化が進み「特定空家等」に認定されると、
土地の固定資産税が最大6倍になる 可能性があります。

管理もできていないのに、税金だけは確実に来ます。


② 売却・賃貸の判断に相続人“全員”の同意が必要

不動産は共同相続財産です。
相続人が複数いる場合、

  • 1人でも反対すると動けない
  • 1人でも連絡がつかないと止まる

という問題が起きます。

これは空き家が放置され続ける最大の原因です。


③ 放置すると「管理責任」の問題が出てくる

空き家でも所有者(相続人)は管理責任を負っています。

具体的には:

  • 郵便物の滞留
  • 雑草の繁茂
  • ゴミの不法投棄
  • 近隣からの苦情
  • 台風で瓦やトタンが飛び、隣家へ損害が出る

さらに、火災のリスクがあります。

 空き家で火災が起きた場合

放火・漏電などによる火事は実際に全国で起きています。

もし延焼して隣家に被害が出れば、
相続人側は 数百万円〜数千万円規模の賠償責任 を負う可能性もあります。

火災後の精神的な負担も非常に大きく、
“放置していたこと”を後悔してしまうケースもあります。


④ 解体費用200〜300万円(平均)

老朽化が進むと、売却のために解体が必要と言われることも多くなります。
しかし、そのためにも相続人全員の合意が必要です。


⑤ 相続登記がされていないと、何一つ進まない

名義が亡くなった方のままでは、売ることも貸すことも解体もできません。

相続登記は2024年から義務化されていますが、
まだまだ実際には手続きを終えていないケースが多いのが現状です。


⑥ 国庫帰属制度は“使える人が限られる”

2023年から相続土地国庫帰属制度が始まりましたが、
これはあくまで 最後の手段 です。

  • 建物がある土地は対象外
  • 境界が決まっていないと対象外
  • 災害リスクのある土地は対象外
  • 申請手数料と負担金が必要

つまり、
空き家ごと国に引き取ってもらえる制度ではありません。


■ 2. 自治体の視点から見る「空き家問題」の深刻さ

空き家問題は、相続人だけの問題ではありません。
自治体(市役所・町役場)にとっても大きな負担になっています。

● 住民からの苦情が絶えない

  • 「今にも倒れそうで危ない」
  • 「子どもが入ってしまいそうで怖い」
  • 「雑草がすごい」
  • 「不審者が出入りしている」

こうした苦情は、最終的に自治体へ寄せられます。


● 所有者が誰か分からない

自治体が法務局で調べると、
名義がすでに亡くなった方のままのケースが非常に多いです。

そこから調べると相続人が何人もいて、
中には海外に住んでいたり、全く連絡がつかない人もいます。


● 相続人から「自分は関係ない」と言われる

法的には相続人でも、
「何ももらっていないから関係ない」
「実家には戻らないので放っておいてほしい」
という反応もあります。

自治体としても、強制的に処理するのは簡単ではありません。


● 結果:自治体も“手が出せない空き家”が増えていく

空き家が増える理由は、

  • 所有者が複数
  • 連絡が取れない
  • 相続登記がされていない
  • 誰も責任を負いたくない

という構造にあります。

自治体も板挟みとなり、
空き家は増える一方というのが現実です。


■ 3. 空き家を相続したら「何をすべきか?」解決策まとめ

空き家問題は複雑に見えますが、
実際にやるべきことは 3つ だけです。


◎ ① 相続登記を行う(義務化済み)

名義が親のままでは何もできません。
相続登記は最優先です。


◎ ② 相続人は「方針」を決める

空き家をどうするのかは、実質3択です。

  1. 売る
  2. 貸す
  3. 管理(維持・解体)する

どれを選ぶにしても、全員の同意が必要です。

行政書士としては、この合意形成をスムーズに進める支援が可能です。


◎ ③ 専門家連携で一気に進める

空き家の処理には複数の専門が関わります。

  • 行政書士:相続人整理、協議支援、書類
  • 司法書士:相続登記
  • 不動産業者:売却・買取
  • 解体業者:建物撤去

最初に行政書士に相談することで「どの順番で進めるか」を整理できます。


■ 4. それでも一番効果があるのは「公正証書遺言」

今回のテーマは“すでに空き家になった後”の話ですが、
本質はここにあります。

空き家の原因の大半は「誰のものにするか」が決められていないこと。

だからこそ、生前に公正証書遺言を作っておけば

  • 1人の承継者を決められる
  • 相続登記がすぐできる
  • 遺言執行者が死後すぐ動ける
  • 意思決定がスムーズ
  • 空き家化を大幅に防げる

これは相続人にとっても、自治体にとってもプラスです。


■ 5. まとめ

空き家を相続すると、

  • 税金
  • 近隣トラブル
  • 火災リスク
  • 管理責任
  • 相続人同士の対立
  • 名義が止まって何もできない

といった問題に直面します。

しかし、

  • 相続登記
  • 相続人間の方針決定
  • 専門家のサポート

を行えば、空き家問題は必ず前に進みます。

そして、
そもそも空き家を生まないための最も効果的な方法が、公正証書遺言です。

生前の備えが、
家族の負担を大きく減らし、
地域の空き家問題の解決にもつながります。

空き家でお困りの方、
将来に備えたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。


 

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