こんにちは。
兵庫・阪神地域(尼崎・伊丹・西宮・川西・猪名川など)を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
今回は、「すでに空き家になってしまっている家をどうすべきか?」 というテーマでお話しします。
最近、
「親が亡くなり、実家が空き家のままになっている」
「兄弟で意見が合わず何も進まない」
「固定資産税だけ払い続けている」
という相談が本当に増えています。
空き家問題は“相続”から始まりますが、
一度空き家になってしまうと、そこからの管理・処理が本当に大変です。
この記事では、空き家のリスク、自治体の現場で起きていること、そして実際にやるべきことを整理してお伝えします。
■ 1. 空き家を相続した人が直面する現実(6つの問題)
① 誰も住んでいないのに税金がかかり続ける
空き家でも固定資産税は必ずかかります。
さらに老朽化が進み「特定空家等」に認定されると、
土地の固定資産税が最大6倍になる 可能性があります。
管理もできていないのに、税金だけは確実に来ます。
② 売却・賃貸の判断に相続人“全員”の同意が必要
不動産は共同相続財産です。
相続人が複数いる場合、
- 1人でも反対すると動けない
- 1人でも連絡がつかないと止まる
という問題が起きます。
これは空き家が放置され続ける最大の原因です。
③ 放置すると「管理責任」の問題が出てくる
空き家でも所有者(相続人)は管理責任を負っています。
具体的には:
- 郵便物の滞留
- 雑草の繁茂
- ゴミの不法投棄
- 近隣からの苦情
- 台風で瓦やトタンが飛び、隣家へ損害が出る
さらに、火災のリスクがあります。
空き家で火災が起きた場合
放火・漏電などによる火事は実際に全国で起きています。
もし延焼して隣家に被害が出れば、
相続人側は 数百万円〜数千万円規模の賠償責任 を負う可能性もあります。
火災後の精神的な負担も非常に大きく、
“放置していたこと”を後悔してしまうケースもあります。
④ 解体費用200〜300万円(平均)
老朽化が進むと、売却のために解体が必要と言われることも多くなります。
しかし、そのためにも相続人全員の合意が必要です。
⑤ 相続登記がされていないと、何一つ進まない
名義が亡くなった方のままでは、売ることも貸すことも解体もできません。
相続登記は2024年から義務化されていますが、
まだまだ実際には手続きを終えていないケースが多いのが現状です。
⑥ 国庫帰属制度は“使える人が限られる”
2023年から相続土地国庫帰属制度が始まりましたが、
これはあくまで 最後の手段 です。
- 建物がある土地は対象外
- 境界が決まっていないと対象外
- 災害リスクのある土地は対象外
- 申請手数料と負担金が必要
つまり、
空き家ごと国に引き取ってもらえる制度ではありません。
■ 2. 自治体の視点から見る「空き家問題」の深刻さ
空き家問題は、相続人だけの問題ではありません。
自治体(市役所・町役場)にとっても大きな負担になっています。
● 住民からの苦情が絶えない
- 「今にも倒れそうで危ない」
- 「子どもが入ってしまいそうで怖い」
- 「雑草がすごい」
- 「不審者が出入りしている」
こうした苦情は、最終的に自治体へ寄せられます。
● 所有者が誰か分からない
自治体が法務局で調べると、
名義がすでに亡くなった方のままのケースが非常に多いです。
そこから調べると相続人が何人もいて、
中には海外に住んでいたり、全く連絡がつかない人もいます。
● 相続人から「自分は関係ない」と言われる
法的には相続人でも、
「何ももらっていないから関係ない」
「実家には戻らないので放っておいてほしい」
という反応もあります。
自治体としても、強制的に処理するのは簡単ではありません。
● 結果:自治体も“手が出せない空き家”が増えていく
空き家が増える理由は、
- 所有者が複数
- 連絡が取れない
- 相続登記がされていない
- 誰も責任を負いたくない
という構造にあります。
自治体も板挟みとなり、
空き家は増える一方というのが現実です。
■ 3. 空き家を相続したら「何をすべきか?」解決策まとめ
空き家問題は複雑に見えますが、
実際にやるべきことは 3つ だけです。
◎ ① 相続登記を行う(義務化済み)
名義が親のままでは何もできません。
相続登記は最優先です。
◎ ② 相続人は「方針」を決める
空き家をどうするのかは、実質3択です。
- 売る
- 貸す
- 管理(維持・解体)する
どれを選ぶにしても、全員の同意が必要です。
行政書士としては、この合意形成をスムーズに進める支援が可能です。
◎ ③ 専門家連携で一気に進める
空き家の処理には複数の専門が関わります。
- 行政書士:相続人整理、協議支援、書類
- 司法書士:相続登記
- 不動産業者:売却・買取
- 解体業者:建物撤去
最初に行政書士に相談することで「どの順番で進めるか」を整理できます。
■ 4. それでも一番効果があるのは「公正証書遺言」
今回のテーマは“すでに空き家になった後”の話ですが、
本質はここにあります。
空き家の原因の大半は「誰のものにするか」が決められていないこと。
だからこそ、生前に公正証書遺言を作っておけば
- 1人の承継者を決められる
- 相続登記がすぐできる
- 遺言執行者が死後すぐ動ける
- 意思決定がスムーズ
- 空き家化を大幅に防げる
これは相続人にとっても、自治体にとってもプラスです。
■ 5. まとめ
空き家を相続すると、
- 税金
- 近隣トラブル
- 火災リスク
- 管理責任
- 相続人同士の対立
- 名義が止まって何もできない
といった問題に直面します。
しかし、
- 相続登記
- 相続人間の方針決定
- 専門家のサポート
を行えば、空き家問題は必ず前に進みます。
そして、
そもそも空き家を生まないための最も効果的な方法が、公正証書遺言です。
生前の備えが、
家族の負担を大きく減らし、
地域の空き家問題の解決にもつながります。
空き家でお困りの方、
将来に備えたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。


