#46 【相続シリーズ①】相続手続きの全体像 —亡くなった直後から相続完了までの“本当に必要な手続き”を解説—

01相続・遺言

こんにちは。神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西・猪名川など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
相続・遺言・家族信託・死後事務委任契約など、「老後の備え」や「家族を守る仕組み」を専門にサポートしています。

今回は、相続シリーズの第1回として、
「相続手続きの全体像」 をザクっとまとめました。

相続のご相談を受けていると、多くの方がこう言われます。

「相続って何から始めたらいいの?」
「亡くなった後の手続きが全然わからない…」

相続手続きは、想像以上に複雑で、やるべきことも多岐にわたります。
この記事では、亡くなってすぐに必要な手続きから、遺産分割、相続登記、税務までの流れを体系的に解説します。

まずは全体像を理解することで、相続への不安が大きく軽減します。


1. 【亡くなった直後】まず行うべき重要な手続き

■ 死亡届の提出(7日以内)

死亡届は相続手続きの最初のステップです。
提出先は 市区町村役場 ですが、多くの場合は葬儀社が代行してくれます。


■ 葬儀の準備と実施

  • 葬儀社との打ち合わせ
  • 費用の確認
  • 親族への連絡
  • 日程調整

精神的につらい時期ですが、ここから相続がスタートします。


2. 【相続人の確定】戸籍の収集が必要

相続で最も基本となるのが、
「誰が相続人なのか」 の確定です。

■ 必要な戸籍

  • 被相続人の出生から死亡までの“すべての戸籍”
  • 相続人全員の現在戸籍

戸籍収集は
「どこに何があるか分からない」「時間がかかる」
など、最初の難関になる部分です。


3. 【財産調査】相続財産の全体を把握する

相続では、財産だけでなく 負債(借金)も承継する ため、
全体を正確に把握する必要があります。

■ 主な財産調査の対象

  • 預貯金
  • 不動産
  • 株式・投資信託
  • 保険金
  • 自動車
  • 借金(負債)

相続放棄の判断にも関わるため、早期の調査がポイントです。


4. 【遺産分割協議】相続人全員で話し合う

ここからが相続の“核心部分”です。

遺産分割は、相続人の事情・感情が交錯し、
最も揉めやすい場面でもあります。


■ 遺言書がある場合

遺言書の種類によって手続きが大きく異なります。


(1)自筆証書遺言がある場合

● 家庭裁判所の「検認」が必須

自筆の遺言書は、封書・メモ形式を問わず、
家庭裁判所の検認手続きが必要 です。

【検認の流れ】

  1. 家庭裁判所へ申立て
  2. 相続人全員へ通知
  3. 裁判所で開封(封書の場合)
  4. 検認調書が作成
  5. 手続き開始可能

● 注意点

  • 検認まで1〜2ヶ月かかる
  • 書き方の不備により無効となるケースも
  • 争族の火種になりやすい

(2)公正証書遺言がある場合

● 検認は不要

公証人が作成した遺言のため、
家庭裁判所の検認なしで即手続き開始 できます。

● 実務のメリット

  • 手続きが圧倒的に早い
  • 内容の不備がほぼない
  • 公証役場が原本保管で安心
  • 相続人間の争いを防ぎやすい

(3)メモ書き・付箋・ノートなどの「遺言のようなメモ」がある場合

現場でよくあるのが、
“遺言のつもり”で書いたメモ・ノート・手帳の走り書き。

● 法的な効力は基本的にない

多くの場合、

  • 日付なし
  • 署名なし
  • 押印なし
  • 自書でない部分がある

など、遺言の法律要件を満たしていません。


● しかし相続人全員が合意すれば「方向性の参考」にできる

法律上の遺言ではなくても、
被相続人の“気持ち”を示す資料として価値があります。

家族の話し合いの中で:

  • 「お父さんはこうしたかったんだと思う」
  • 「メモを尊重して、このように分けよう」

と合意すれば、
その方向で遺産分割することは合法で全く問題ありません。


✔ 最終的に「相続人全員が合意」して

✔ 「遺産分割協議書」を作成すれば

✔ 銀行も法務局も税務署も手続きが可能

メモ通りにしても
メモを参考にして調整しても
メモと全く違う形で分けても
すべて合法です。


■ 遺言書がない場合

遺言がなければ、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行います。

ここが最も揉めやすい段階です。

  • 感情の対立
  • 不公平感
  • 連絡が取れない相続人
  • 過去のしこりが噴き出す

実務でも、最も相談が多い部分です。


5. 【名義変更の手続き】実務作業がここから本格化する

遺産分割がまとまると、次は実際の名義変更手続きです。

■ 預貯金の解約・払戻

必要な書類:

  • 戸籍一式
  • 相続人全員の印鑑証明
  • 遺産分割協議書

■ 不動産の相続登記

司法書士の領域ですが、
必要書類の準備など行政書士がサポートできます。

注意:2024年4月からは、相続不動産の名義変更(相続登記)が義務化されました。
相続人は自己のために相続があったことを知り、かつ、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記をしなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条)。

つまり、「とりあえず放置」は通用しません。


■ 生命保険の請求

保険会社への連絡 → 書類提出 → 受取という流れです。


6. 【税務手続き】期限に注意が必要

■ 相続税申告(10か月以内)

課税対象の場合は税理士と連携します。

■ 準確定申告(4か月以内)

被相続人に収入があった場合に必要です。


7. 【相続完了】

相続人の確定 → 財産調査 → 遺産分割 → 名義変更 → 税務
これらがすべて完了すれば、相続手続きが終了します。


【まとめ】相続手続きは“想像以上に大変”です

相続は、悲しみの中で、膨大な手続きをこなす必要があります。
だからこそ、生前の準備(特に公正証書遺言)が大きな力になります。

次回は
相続シリーズ②:相続で揉めるポイント(争族のリアル)
をお届けします。


 

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