こんにちは。
神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
在留資格(ビザ申請)を中心に、外国人の雇用や定着支援のご相談を日々お受けしています。
今日は、2025年末に相次いで報じられた外国人政策・観光政策に関するニュースについて、現場で仕事をしている立場から、少し整理してお話ししたいと思います。
永住要件の見直し、ビザ手数料の引き上げ、出国税の増額…。
一見すると「外国人に厳しくなった」「日本が閉じていくのでは」と感じる方もいるかもしれません。
ただ、全体を俯瞰すると、政府が目指しているのは排除ではなく「ルールを明確にし、負担と支援を整理すること」だと私は受け止めています。
※この記事の内容は、動画でも解説しています。
文章で読む時間がない方は、最後の動画もあわせてご覧ください。
永住・帰化の要件はどう変わるのか
まず大きな話題になっているのが、永住許可や国籍取得(帰化)の要件見直しです。
永住許可について
政府は今後、
- 永住要件に 日本語能力
- 具体的な収入基準
を明確に盛り込む方針を示しています。
実務上は、これまでも日本語能力や安定収入は重視されてきました。
今回のポイントは、それを「暗黙の基準」ではなく、制度としてはっきり位置づける点にあります。
帰化(国籍取得)について
居住要件については、現在の「原則5年以上」から、
永住と同様に「原則10年以上」へ引き上げる方向が示されています。
これは、日本国籍を取得する以上、
日本社会への定着度をより長いスパンで見ていくという考え方でしょう。
税・社会保険・医療費の管理が厳格化される理由
今回の基本方針では、社会保障制度の運用も大きなテーマになっています。
- 税金
- 社会保険料
- 医療費
これらの未納や不正受給を防ぐため、
- 在留カードとマイナンバーカードの一体化
- 国と自治体の情報連携
- 滞納がある場合の在留審査への反映
といった仕組みが進められます。
ここで大切なのは、
これは「外国人を特別に厳しくする」話ではなく、
制度を使う以上、国籍を問わず公平に管理するという方向性だという点です。
私自身の考えとしても、
ルールを守らない行為は、国籍に関係なく問題であり、許されるべきではないと思っています。
一方で、きちんと納税し、まじめに働いている人まで一括りにされる社会にはしてはいけない、とも感じています。
日本語・文化・法制度を学ぶプログラムの創設
今回の方針の中で、個人的にとても重要だと感じているのが、
日本語・文化・法制度を包括的に学ぶプログラムの創設です。
永住許可や在留資格の審査時に、
このプログラムの受講を義務づけることも検討されています。
現場では、
- 知らなかった
- 理解できていなかった
- 悪意はなかったが結果的に違反になった
という相談を受けることが少なくありません。
「守れ」と言う前に「学ぶ機会を用意する」。
これは、共生社会を考えるうえで、とても現実的なアプローチだと思います。
出国税3倍・ビザ手数料引き上げが示すもの
今回の流れは、在留制度だけではありません。
観光政策にも大きな動きが出ています。
出国税の引き上げ
日本政府は、来年7月から
- 出国税(国際観光旅客税)を
1,000円 → 3,000円 に引き上げる方針です。
この税金は、訪日外国人だけでなく、海外に出国する日本人も負担します。
増えた税収は、
- 観光公害対策
- 観光客の地方分散
といった目的に充てられる予定です。
ビザ発給手数料の引き上げ
さらに、外国人向けのビザ発給手数料も、
- 単数回ビザ:3,000円 → 15,000円
- 複数回ビザ:約30,000円
へ引き上げる方向で検討されています。
JESTA(電子渡航認証)の導入
2028年頃からは、ビザ免除国の旅行者にも
事前のオンライン審査と手数料を求める「JESTA」の導入が予定されています。
これらは「締め付け」なのか?
ここまで並べると、
「外国人にも日本人にも負担が増えている」
と感じるかもしれません。
ただ私は、これらは一貫して、
- 急増する人の流れに制度が追いついていない
- 無秩序な状態を放置しない
- 受益と負担の関係を整理する
という流れの中にあると見ています。
日本政府は2030年までに、訪日外国人6000万人という目標を掲げています。
その一方で、地域や現場の負担が限界に近づいているのも事実です。
最後に
外国人政策も観光政策も、
これからは「増やす」だけでは立ち行きません。
- ルールを明確にする
- 守るべきことは守る
- 学ぶ機会と支援を用意する
- 受益に応じた負担を考える
そのバランスをどう取るかが、今まさに問われているのだと思います。
制度は冷たいものに見えがちですが、
本来は「人が安心して暮らすための土台」です。
今後も、制度の動きについては、
現場目線で分かりやすく整理してお伝えしていきたいと思います。


