#69 【令和8年2月改正・完全整理】就労ビザ・企業内転勤・永住許可はどう変わるのか ──「申請分から」の意味と「納期限内」の重み──

05在留資格

こんにちは。
神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
在留資格(ビザ申請)を中心に、外国人雇用支援や永住許可申請のサポートを行っています。

令和8年2月24日付で、出入国在留管理庁からの行政書士会へ在留資格に関する変更の周知依頼がありました。

今回の変更は、

  • 「技術・人文知識・国際業務」の派遣形態

  • 「企業内転勤」の提出書類

  • 永住許可に関するガイドライン

  • 就労資格関係Q&Aの追加

と広範囲に及びます。

本記事では、資料に基づき、正確に内容を整理します。


1.「技術・人文知識・国際業務」派遣形態の取扱い明確化

(令和8年3月9日(月)申請分から適用

まず重要なのは、「3月9日から適用」ではなく、

令和8年3月9日申請分から適用

という点です。

それ以前に申請された案件には遡って適用されません。


(1)提出書類の追加

派遣形態で就労する場合、以下の書類提出が必要になります。

  • 「派遣労働に関する誓約書(派遣元用)」

  • 「派遣労働に関する誓約書(派遣先用)」

  • 労働者派遣個別契約書

  • その他、派遣実態を示す資料

単なる雇用契約書のみでは足りません。

派遣元・派遣先双方の責任を明確化する設計になっています。


(2)派遣先は申請時点で確定している必要(Q37)

Q37では、

  • 申請時点で派遣先が確定していること

  • 業務内容が在留資格に該当すること

  • 複数派遣先がある場合はすべて把握していること

が明示されています。

したがって、

「とりあえず許可を取ってから派遣先を決める」

という運用は、現行運用上は認められないと考えられます。


(3)在留期間は派遣契約期間に応じて決定

派遣契約期間に応じた在留期間が決定されると明記されています。

形式的に長期契約を設定するだけでは足りず、実態に即した契約が求められます。


(4)派遣先変更時の届出義務(Q38)

Q38では、

  • 派遣先が変わる場合、14日以内の届出が必要

  • 指揮命令系統が派遣先にあること

が明確化されています。

届出漏れはリスクになります。


(5)派遣先への実態確認(Q39)

Q39では、

派遣先への実地確認やヒアリングが行われる可能性

が示されています。

今回の運用明確化は、

「形式ではなく実態を見る」

という方向性を明確にしたものといえます。


2.「企業内転勤」提出書類チェックシート

(令和8年4月1日運用開始)

こちらは令和8年4月1日から運用開始です。

対象はカテゴリー3・4の機関です。


主なポイント

  • 転勤命令書の写し

  • 労働条件を明示する文書(法人が異なる場合)

  • 出資関係等を示す資料

つまり、

✔ 本当にグループ企業内の転勤か
✔ 実態が企業内人事か

を確認する運用になります。

名目的な「企業内転勤」は認められにくくなる可能性があります。


3.永住許可ガイドライン改訂

(令和8年2月24日改訂)

今回、実務上最も影響が大きいのがこの部分です。


(1)上陸許可基準等への適合を明文化

新たに、

「現に有している在留資格について、法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること」

が明記されました。

これは、

✔ 実態として基準を満たしているか
✔ 名目上の活動になっていないか

を永住審査で確認する趣旨と考えられます。


(2)公的義務の「納期限内」履行の重視

ガイドラインには次のように明記されています。

申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期限内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます。

つまり、

  • 追納している

  • 現在は完納している

だけでは足りません。

納期限内に履行しているか

が評価対象になります。

これは永住審査において極めて重要な変更です。


4.Q&A(Q37〜Q39)の追加

今回の事務連絡では、就労資格に関するQ&AにQ37〜Q39が追加されました。

内容は主に派遣形態に関するものです。

  • Q37:派遣先確定、業務該当性、複数派遣先の把握

  • Q38:派遣先変更時の届出、指揮命令系統

  • Q39:実態確認の可能性

これにより、派遣運用のグレーゾーンを整理する方向性が明確になりました。


5.今回の改正の共通テーマ

一連の変更から見えるのは、

形式より実態

という姿勢です。

  • 名目上の契約ではなく実際の活動

  • 形式的完納ではなく期限内履行

  • 形だけの転勤ではなく実態ある企業内異動

制度を厳しくしたというより、

審査基準を明確化し、実態確認を強めた

と捉えるのが適切でしょう。


6.企業と外国人本人が今すべきこと

企業側

  • 派遣契約の整備

  • 資本関係資料の整理

  • 社会保険・税務の適正管理

  • 届出義務の徹底

外国人本人

  • 税金・年金・保険料の期限内納付

  • 現在の活動内容の適合性確認

  • 将来永住を目指す場合は履歴管理


7.最後に

今回の改正は、排除を目的とするものではありません。

むしろ、

✔ 何が見られているのか
✔ どこを整えるべきか

がより明確になったといえます。

在留資格も永住も、
制度の中での「信頼の積み重ね」です。

実態を整え、誠実に履行することが、将来の安定につながります。

制度変更が気になる方は、早めの確認をおすすめします。

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