こんにちは。
神戸・西宮・尼崎・伊丹・川西など阪神地域を中心に活動している、申請取次行政書士の小田晃司です。
最近、「外国人政策の厳格化」という言葉をよく目にするようになりました。
2026年2月の報道でも取り上げられていましたが、実務の現場にいると、「ああ、やっぱりそこに来たか」と感じる部分も少なくありません。
とりわけ、日本で起業を考えている外国人の方にとって影響が大きいのが、経営・管理ビザの要件引き上げです。
今日は制度の条文解説というより、
現場で見ていて感じること、正直な所感を書いてみたいと思います。
突然現実味を帯びた「3,000万円」という数字
これまで経営・管理ビザといえば、
- 資本金500万円以上
- 事業所の確保
- 実体ある事業計画
といった要件をどうクリアするかが主な論点でした。
ところが今は、原則3,000万円以上という金額が前提のように語られる場面が増えています。
制度趣旨としては、
- ペーパーカンパニーの排除
- 名ばかり経営者の整理
という流れなのでしょう。
ただ、現実問題としてこの金額を用意できる外国人起業家がどれほどいるかというと、かなり限られます。
小さな飲食店、個人商店、貿易やコンサルのような小規模事業。
これまで日本で地道にやってきた人たちが、更新のタイミングで行き詰まる。
そういうケースが、今後さらに増えていくだろうと感じています。
スタートアップビザは「楽な代替ルート」ではない
こうした中でよく話題になるのが、
スタートアップビザ(外国人起業促進事業)です。
確かに制度上は、
- 最初から3,000万円がなくてもよい
- 一定期間、準備期間が与えられる
- 自治体が後ろ盾になる
という意味で、希望の光のように見えます。
ただ、ここは声を大にして言っておきたいのですが、
スタートアップビザは決して「簡単な道」ではありません。
むしろ、別の意味でかなりハードです。
- 自治体の審査は想像以上に厳しい
- 事業計画は「夢」では通らない
- 成長性・社会性・実現可能性を強く問われる
正直、「普通の起業」よりも、
よほど日本社会から“選ばれる覚悟”が必要な制度だと思います。
「資金が足りないからスタートアップビザで」
という発想だけでは、ほぼ通らないでしょう。
経営・管理ビザ厳格化の“裏側”で起きそうなこと
もう一つ、現場で少し気になっていることがあります。
経営・管理ビザが厳しくなればなるほど、
別の歪みが出てくる可能性です。
具体的には、
- 日本人を名ばかりで代表に立てる
- 実態は外国人経営だが、形式上は日本人経営
- 「雇われ社長」「名義貸し」に近い形
- 形式的な日本人雇用
こうした動きが、水面下で出てくるだろうな、という嫌な予感もしています。
もちろん、これは日本人側にとっても大きなリスクです。
税務、労務、最悪の場合は刑事責任の問題にもなりかねません。
制度を厳しくすれば必ず“抜け道”を探す人が出る。
それが、これまでの歴史でもありました。
それでも、日本は「本気の起業家」を求めている
ここまで読むと、かなり厳しい話に聞こえるかもしれません。
でも、私自身は
「外国人を締め出したい国になった」とは思っていません。
むしろ、
- ちゃんと税金を払い
- 雇用を生み
- 日本社会の中で事業を続ける覚悟がある人
そういう起業家だけを、より明確に選びたいという方向に舵を切った。
そんな印象を受けています。
楽な時代ではありません。
ですが、戦略を間違えなければ道が完全に閉ざされたわけでもありません。
最後に:迷った時点で、ひとりで判断しないでください
経営・管理ビザなのか。
スタートアップビザなのか。
そもそも日本で起業すること自体が現実的なのか。
これからは、
最初の選択を間違えると、取り返しがつかない局面に入っています。
「まだ大丈夫だろう」
「とりあえずやってみよう」
在留資格に関してはそう思える時代は、正直もう終わりつつあります。
だからこそ、早い段階で、
一度立ち止まって整理することが大切だと思っています。
制度は厳しくなりましたが、
きちんと向き合えば、選択肢はゼロではありません。
専門家に相談してください。


