#35 成年後見人と任意後見人の違い

02後見制度(法定後見・任意後見)

こんにちは。神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
相続・遺言・家族信託など「老後の備え」に関するご相談が増えており、今回はその中でもよく質問を受ける成年後見人と任意後見人の違いについてお話しします。

前回の記事、「#34 家族信託と成年後見制度の違い」 もご覧ください。


1. 成年後見制度には2種類ある

「成年後見制度」と聞くと、裁判所が後見人を選ぶ「法定後見制度」を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、実はもう一つ、自分で後見人を選んでおける「任意後見制度」があります。

どちらも本人の財産や生活を守るための制度ですが、
「いつ」「誰が」「どのように」決めるかが大きく異なります。


2. 成年後見人(法定後見制度)とは

成年後見人とは、すでに本人の判断能力が低下している場合に、家庭裁判所が選任する後見人のことです。
本人に代わって、財産管理や生活に関する手続きを行います。

例えば──

  • 銀行口座の管理
  • 不動産の売却
  • 介護施設の契約
  • 医療費の支払い

など、生活に関わる重要な決定をサポートします。

ただし、後見人は常に家庭裁判所の監督下にあり、
定期的な報告義務があります。
また、家族ではなく弁護士や司法書士など専門職後見人が選ばれるケースも少なくありません。

✅つまり、「すでに判断できなくなった後に、裁判所が選ぶのが成年後見人」です。


3. 任意後見人(任意後見制度)とは

任意後見人は、まだ判断能力があるうちに、
「将来、自分が判断できなくなったときのために」
自分で信頼できる人を後見人として選んでおく制度です。

契約書を作成し、公証役場で「任意後見契約公正証書」として正式に結びます。
本人の判断能力が低下したタイミングで、家庭裁判所が任意後見監督人を選び、契約が発効します。

✅つまり、「まだ元気なうちに自分で決めておくのが任意後見人」です。


4. 両制度の主な違い

比較項目 成年後見人(法定後見) 任意後見人(任意後見)
開始時期 判断能力を失ってから 判断能力があるうちに契約
誰が決めるか 家庭裁判所 本人(契約)
選任される人 家族または専門職(裁判所が決定) 本人が信頼する人(事前に指定)
裁判所の関与 常に監督あり 契約発効後に監督人が就任
柔軟性 低い(裁判所の許可制) 高い(契約内容を自由に設計可能)
主な目的 判断できない人を法的に保護 判断できるうちに将来へ備える
契約形態 家庭裁判所の審判 公正証書による契約

5. どちらを選ぶべき?

成年後見制度は「すでに判断できない人を守る最後の手段」であり、
任意後見制度は「判断できるうちに将来に備える仕組み」です。

家族信託や遺言と同じように、
「自分の意思を残せるうちに準備すること」が安心につながります。

特に次のような方は、任意後見契約を検討する価値があります。

  • 子どもが遠方に住んでいる
  • 財産を特定の人に任せたい
  • 施設入所や医療契約を安心して任せたい
  • 将来的に認知症が心配

6. 行政書士としてできる支援

行政書士は、任意後見契約書の原案作成や、公証役場での手続き支援を行うことができます。
契約の文面には、財産管理・生活支援・医療・介護・葬儀・相続など、さまざまな内容を盛り込むことが可能です。

また、任意後見契約は単独ではなく、
遺言書や家族信託と併用することで、より安心な老後の備えになります。


7. まとめ

成年後見人と任意後見人は、どちらも本人を守るための制度ですが、
最大の違いは「誰が、いつ、決めるか」にあります。

  • 成年後見人 → 家庭裁判所が選ぶ「守る制度」
  • 任意後見人 → 自分で選ぶ「備える制度」

判断能力があるうちに任意後見契約を結んでおくことで、
将来の不安を大きく減らすことができます。


📘 次回の記事では、「家族信託と任意後見制度の違い」について、
どちらを選ぶべきか、併用のポイントを解説します。

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