#75 【入管法改正案】永住許可申請は30万円になるのか? ──「手数料上限引き上げ」のニュースを正しく読む──

05在留資格

こんにちは。
神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
在留資格(ビザ申請)を中心に、外国人雇用支援や永住許可申請のサポートを行っています。

2026年3月10日、政府が入管法の改正案を閣議決定したというニュースが報道されました。

その中でも特に注目を集めているのが、

「永住許可申請の手数料の上限を1万円から30万円に引き上げる」

という部分です。

SNSなどでは
「永住申請が30万円になるの?」
「外国人に対する締め付けでは?」
といった声も見られます。

ただ、実務的に見ると、このニュースは少し誤解されやすい部分があります。
今日はこの点を整理してみたいと思います。


■ 今回決まったのは「具体的な金額」ではありません

まず重要なのは、今回決まったのは

「手数料の上限額」

だという点です。

現在の法律では、在留手続きに関する手数料の上限は
一律1万円とされています。

今回の改正案では、この上限を次のように引き上げる方向です。

  • 在留資格変更・在留期間更新
    → 上限 10万円
  • 永住許可申請
    → 上限 30万円

ただし、ここで注意が必要です。

実際にいくらになるのかは、まだ決まっていません。

具体的な手数料は、法律ではなく
政令(政府の決定)で定められることになっています。

つまり、今回のニュースは

「永住申請が30万円になる」

という話ではなく、

「法律上、最大30万円まで設定できるようにする」

という改正案なのです。


■ 永住だけが対象ではありません

もう一つ、誤解されやすい点があります。

今回の改正は、

永住だけの話ではありません。

在留資格の変更や更新についても
上限が引き上げられる予定です。

つまり、今回の改正は

  • 永住申請
  • 在留資格変更
  • 在留期間更新

など、在留手続き全体の手数料制度を見直すものと言えます。


■ なぜ今、手数料見直しなのか

背景には、日本に在留する外国人の増加があります。

2025年末時点で、日本に在留する外国人は
約413万人と過去最多になりました。

入管行政の業務量も大きく増えており、

  • 審査体制の強化
  • システム整備
  • 外国人政策の対応強化

などが必要になっています。

今回の改正は、そうした状況に対応するための
制度的な枠組みの見直しという側面もあると考えられます。


■ もう一つのポイント「JESTA」

今回の改正案には、もう一つ重要な内容があります。

それが

電子渡航認証制度(JESTA)

です。

これは、短期滞在ビザが免除されている国の外国人について、

来日前にオンラインで事前審査を行う仕組み

です。

アメリカの ESTA と似た制度です。

政府はこの制度を
2028年度中に導入する予定としています。

将来的には

  • 空港での入国審査の簡素化
  • ウォークスルー型ゲート

なども想定されており、
入国管理のデジタル化が進む流れが見えます。


■ 最後に

今回のニュースは、

「永住申請が30万円になる」

というインパクトの強い見出しが先行していますが、
実際には

  • 上限額の見直し
  • 具体額は未定
  • 入管制度全体の見直し

という内容です。

外国人が増える社会の中で、
制度も少しずつ変わっていきます。

重要なのは、ニュースの見出しだけで判断するのではなく、
制度の仕組みを正しく理解することだと思います。

今後、国会での審議や政令の内容によって、
具体的な手数料も明らかになっていくはずです。

実務への影響も含めて、
また動きがあればこのブログでもお伝えしていきたいと思います。

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