こんにちは。
神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
相続や遺言のご相談を受けていると、よくこんな声を聞きます。
「まだ元気だけど、将来に備えて何かしておいた方がいいですか?」
今回は、そんな方に知っていただきたい
「見守り契約」「任意代理契約」「任意後見契約」という3つの契約の流れについて、
わかりやすくご説明します。
1. 見守り契約──“今の安心”を形にする契約
見守り契約とは、まだ元気なうちから行政書士などの第三者が
定期的に生活の様子を確認し、変化を見守る契約です。
たとえば──
- 月に1回の電話や訪問で近況を確認する
- 入院や体調変化があれば家族に連絡する
- 確認内容を報告書として記録・保管する
こうした内容を契約書で取り決めておけば、
ご本人もご家族も「ちゃんと見てくれている」という安心感を持つことができます。
この契約は私文書(民間契約)で作成できます。
ただし、見守り契約だけでは「気づく」ことはできても、
実際の手続き(銀行・役所・支払いなど)は代わりに行うことができません。
そこで、次に紹介する「任意代理契約」を併せて整えておくことが大切です。
2. 任意代理契約──“動ける支援”に変える契約
任意代理契約とは、
本人が元気なうちに「この人に手続きを任せます」と決めておく契約です。
たとえば──
- 銀行や役所での手続きを代理してもらう
- 介護施設との契約、公共料金の支払いなどを任せる
- 書類提出や届出などの実務を代行してもらう
など、判断力がある今から効力が発生するのが特徴です。
この契約は、私文書でも有効ですが、
銀行や行政機関でスムーズに代理行為を行うためには、
公正証書で作成しておくのが安心です。
行政書士は、
「どこまで任せるのか」「どんな場合に代理するのか」などを丁寧に整理し、
ご本人とご家族の希望に合わせて契約書を設計します。
3. 「見守り契約+任意代理契約」はセットがおすすめです
実際の現場では、見守り契約と任意代理契約をセットで結ぶケースが多いです。
理由は簡単で、両方を組み合わせることで
「気づける」+「動ける」という実効性が生まれるからです。
| 契約の種類 | 主な内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 見守り契約 | 定期連絡・安否確認 | 状況を“見守る” |
| 任意代理契約 | 手続き・支払い・契約代行 | 実際に“動く” |
たとえば、
月に一度の見守りで「最近、光熱費の支払いが滞っている」と気づいたとします。
このとき任意代理契約があれば、すぐに本人の代わりに手続きが可能です。
つまり、
- 見守り契約:早く気づく仕組み
- 任意代理契約:すぐに動ける仕組み
というように、2つで1つの支援体制と考えるのが実務的です。
4. 任意後見契約──判断力が落ちたときの“法的支え”
そして、将来的に本人の判断力が低下した場合に備えるのが「任意後見契約」です。
これは、あらかじめ選んでおいた人が、
家庭裁判所の監督のもとで法的な代理人としてサポートできる契約です。
任意後見契約はすぐには発動しません。
本人に判断能力の低下が見られた段階で、
医師の診断書などを添えて家庭裁判所に申し立てを行い、
裁判所が「後見開始」を決定した時点で効力が生じます。
5. 三段階で考える「安心の流れ」
契約の役割を整理すると、次のようになります。
| 段階 | 契約 | 主な目的 | 契約形態 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 見守り契約 | 日常の安否確認 | 私文書で作成可 |
| 第2段階 | 任意代理契約 | 手続き・支払いの代行 | 公正証書が望ましい |
| 第3段階 | 任意後見契約 | 判断力低下後の法的支援 | 公正証書+家庭裁判所監督 |
つまり、
元気なうちは「見守り+任意代理」で安心を確保し、
判断力が低下してきたら「任意後見契約」に切り替えていく流れが理想です。
6. 行政書士ができるサポート
行政書士は、単に契約書を作成するだけでなく、
ご本人やご家族の思いを整理し、最適な仕組みを一緒に考えます。
- 現状のヒアリングと契約設計
- 契約書・公正証書の原案作成
- 公証役場での手続き支援
- 家族や関係者との情報共有方法の設計
こうした支援を通じて、
「書類の準備」ではなく「安心の仕組みづくり」をお手伝いしています。
7. まとめ:安心は“つながり”の中でつくる
見守り契約は「気づく」
任意代理契約は「動ける」
任意後見契約は「守れる」
3つの契約をつないでいくことで、
“元気な今から、もしもの時、そしてその先まで”
切れ目のない安心のラインを整えることができます。
行政書士として、
ご本人・ご家族の「想い」と「生活」を両方守る仕組みを、
これからも丁寧にお手伝いしていきます。
🧭 次回予告
次回はシリーズ第3回、
「死後事務委任契約とは?」──
亡くなった後の手続き(葬儀・役所届出・解約など)をどう備えるか、
行政書士の視点からわかりやすくご紹介します。

