#85 永住許可の要件が見直される?

02在留資格

2026年7月24日から25日にかけて、複数の新聞社や通信社が、外国人の永住許可の要件を見直す改定案について報じました。

永住許可は、日本で長く生活する外国人にとって大きな目標の一つです。そのため、今回の報道を見て、不安や疑問を感じた方も多いのではないでしょうか。

一方で、現時点では出入国在留管理庁から正式なガイドラインや制度改正は公表まだされていないように思います。
なので今回は、現在報じられている内容を整理するとともに、現時点で分かっていることと、まだ確定していないことを分けて解説します。


報道ではどのような見直しが予定されているのでしょうか?

複数の報道によると、政府は永住許可のガイドラインを見直し、これまで以上に「日本で安定した生活を送ることができるか」を重視する方向で検討しているとされています。

主な内容として報じられているのは、

  • 一定水準以上の収入
  • 将来の年金受給見込み
  • 日本語能力や日本社会への理解
  • 子どもの義務教育への就学状況
  • 永住者の配偶者に対する特例要件の見直し

などです。

ただし、これらは現時点で報道されている改定案であり、正式に決定された制度ではありません。


年収や年金も判断材料になる?

今回最も注目されているのが、収入や年金に関する見直しです。

報道では、

  • 一定以上の収入
  • 将来受け取る年金額

などを、これまで以上に重視する方向で検討されているとされています。

特に「厚生年金30年加入相当の受給見込み」という内容が大きく報じられています。

もっとも、この点についても正式な運用基準はまだ公表されていないように思います。(令和8年7月25日時点)

また、報道では、年金受給見込みだけでなく、預貯金などの資産状況も考慮される方向で検討されているとされています。

そのため、「日本に来てまだ数年だから永住は絶対に無理なのでは」と過度に心配する必要はありません。正式なガイドラインが公表されるまでは、今後の情報を冷静に見守ることが大切です。


日本社会への適応も重視される方向へ

報道によると、今後は日本社会への適応状況についても審査項目に加える方向で検討されています。

例えば、

  • 日本語による基本的なコミュニケーション能力
  • 日本の法律やルールへの理解
  • 子どもが義務教育の対象であるにもかかわらず就学していない場合は消極的な評価

などが検討されていると報じられています。

これまで以上に、「日本社会の一員として生活しているか」が重視されることになりそうです。


永住者の配偶者にも影響がある?

現在は、日本人や永住者の配偶者について、

  • 婚姻期間3年以上
  • 引き続き日本に1年以上在留

という比較的緩やかな要件があります。

しかし報道では、

  • 婚姻期間5年以上
  • 日本に3年以上在留

へ見直す方向で検討されているとされています。

こちらも正式決定ではありませんが、今後は配偶者の方であっても永住許可までに時間がかかる可能性があります。


税金や社会保険料を納めていない場合は?

2024年の改正入管法では、永住者であっても、故意に税金や社会保険料を納付しない場合には、永住資格が取り消される制度が導入されました。

一方で、

  • 病気
  • 失業
  • 災害
  • 納付猶予や分割納付を受けている場合

など、やむを得ない事情があるケースまで直ちに取消しの対象となるわけではありません。

重要なのは、「支払う意思があるにもかかわらず一時的に支払えない人」と、「故意に納付義務を無視している人」は区別して判断されるという点です。

この点については、実際に私が法務局の方とお話しした際に「滞納があるとかなり厳しくなる」ということは聞いていたのでそれはその方向で間違いないと思います。


永住申請を予定している方へ

今回報じられている内容を見ると、今後の永住許可はこれまで以上に総合的な審査になることが予想されます。

現在申請を予定している方は、

  • 税金・年金・健康保険料を期限どおり納付する
  • 安定した収入を維持する
  • 日本語能力を身につける
  • 日本社会のルールを守る

といった基本的なことを、これまで以上に意識しておくことが大切でしょう。

また、一部報道では今年秋以降から順次見直しが行われる可能性も伝えられていますが、正式な適用時期や具体的な審査基準はまだ公表されていません。

永住申請を予定されている方は、今後公表される正式な情報を確認しながら準備を進めることをおすすめします。

項目 現行制度 報道されている改定案 今から準備できること
年収 安定した生計を営めること(具体的な基準は非公表) 一定水準以上の年収を求める方向で検討 安定した就労・収入を維持する
年金 納付状況は審査対象 将来の年金受給見込みも重視する方向 年金を期限どおり納付する
日本語能力 明確な基準なし 基本的な日本語能力を評価する方向 日本語学習を継続する
日本社会への適応 総合的に判断 法令遵守や社会への適応状況をより重視 日本のルールを守って生活する
子どもの就学 明確な審査項目なし 義務教育の不就学は消極的評価とする方向 子どもの就学状況を確認する
配偶者特例 婚姻3年以上・日本在留1年以上 婚姻5年以上・日本在留3年以上へ見直す方向 申請時期を確認する
入管手数料 永住許可:1万円 永住許可:20万円(2026年10月1日施行予定) 早めの申請を検討する
税金・社会保険料 適正な納付が必要 変更なし(2024年改正入管法により故意の未納は永住取消しの対象) 納期限を守る

※入管手数料は政令案として公表されています。一方、永住許可の要件見直しについては、現時点では正式なガイドラインは公表されておらず、今後変更される可能性があります。


最後に

今回報じられた内容は、永住制度そのものを否定するものではなく、日本で安定した生活を送り、日本社会の一員として暮らしていくことを、これまで以上に重視する方向性が示されたものと考えられます。

もっとも、現時点ではまだ正式な制度改正やガイドラインは公表されていません。

今後、出入国在留管理庁から正式な発表が行われる可能性がありますので、報道だけで判断するのではなく、正確な情報を確認することが重要です。

当事務所でも、正式な情報が公表されましたら内容を確認し、このブログでも分かりやすくお伝えしていきたいと思います。

永住許可申請や在留資格についてご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。

 

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