#86 110番と119番に電話した日──公正証書遺言は「最後の一瞬」まで完成しない

01相続・遺言

先日、110番と119番に電話をしました。

…といっても、事件や事故ではありません。

その日は、ご高齢の方のご自宅で公正証書遺言を作成する予定でした。

時間どおりに到着し、インターホンを押しても反応がありません。
何度お名前を呼んでも出てこられず、昨日お電話した時にはお元気そうだっただけに、不安が募りました。

この猛暑です。

「もしかして、家の中で倒れているのでは…。」

公証人の先生と相談し、110番へ連絡しました。

警察からは、

「警察は鍵がかかった家を開扉することはできません。人命救助になるので、この電話を切った後、すみやかに119番に連絡してください」

との案内を受け、そのまま119番へ。

事情を説明している最中、家の中からゴソゴソと物音が聞こえました。

玄関が開き、ご本人が元気な姿で登場。

友人の訃報の電話に対応されていて、こちらに気付かなかったとのことでした。

何事もなく、本当に安心しました。

そして、その後は予定どおり公正証書遺言を作成することができました。

遺言は「最後の電子署名」が終わるまで完成しません

今回、あらためて強く感じたことがあります。

公正証書遺言は、公証人が内容を読み上げ、ご本人が内容を確認し、最後に電子署名(電子サイン)を行って初めて完成します。

つまり、それまでどれだけ時間をかけて準備をしていても、最後の電子署名ができなければ、公正証書遺言は成立しません。

もし、その直前に体調が急変したり、意識を失ったりしてしまえば、それまで積み重ねてきた準備は完成しないまま終わってしまう可能性があります。

「まだ元気だから大丈夫」が一番危ない

「もう少し落ち着いてから。」
「涼しくなってから。」
「そのうち作ろう。」

そう考えている方も少なくありません。

しかし、人はいつ、何が起こるか分かりません。

今回も、本当に一歩間違えば遺言を作成できなかった可能性がありました。

だからこそ、判断能力がしっかりしていて、お元気なうちに準備しておくことが何より大切だと、あらためて感じました。

最後に

今回は何事もなく、公正証書遺言も無事に完成し、本当にホッとしました。

それにしても、この暑さは本当に危険です。

熱中症は年齢に関係なく誰にでも起こります。

どうか十分な水分補給と暑さ対策を心がけ、元気なうちに大切な準備も済ませていただければと思います。

 

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