こんにちは。
申請取次行政書士の小田晃司です。
昨年11月、ブログで「在留資格の手数料が“最大30倍”に? 2026年度の大幅改定で、申請の現場はどう変わるのか」という記事を掲載しました。
当時は、改正入管法により手数料の上限額が定められた段階であり、実際にいくらになるのかは今後政令で定められることになっていたため、その動向を注視していました。
▶ 関連記事:#52 在留資格の手数料が“最大30倍”に? 2026年度の大幅改定で、申請の現場はどう変わるのか
そしてこの度、2026年7月3日に出入国在留管理庁は、在留資格変更許可・在留期間更新許可・永住許可などに係る手数料を見直す政令案を公表し、パブリックコメント(意見募集)を開始しました。
今回の政令案では、在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料が、これまでの一律料金から許可される在留期間に応じた段階制となり、永住許可については現行の1万円から20万円へ引き上げられる内容となっています。
前回の記事では「法律で定められた上限額」についてご紹介しましたが、今回は、その後公表された政令案により明らかとなった具体的な手数料額や積算根拠、実務への影響について、e-Govで公開されている一次資料をもとに整理して解説したいと思います。
なお、本記事は2026年7月3日時点で公表されている政令案・概要資料・参考資料を基に執筆しています。正式な政令公布前の内容であり、今後変更される可能性があります。
今回公表された資料
今回確認した主な一次資料は、電子政府の総合窓口(e-Gov)で公開されている次の資料です。
出入国在留管理庁・法務省 報道発表および概要資料
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パブリックコメント(e-Gov 意見募集案件)
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政令案・省令案(案件番号:315000136) 「出入国管理及び難民認定法施行令及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法施行令の一部を改正する政令案」等に係る意見募集について
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ガイドライン案(案件番号:315000137) 「在留許可手数料の減額対象者のガイドライン(案)」に係る意見募集について
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2026年7月3日から2026年8月2日まで となっています。
また、施行予定日は 2026年10月1日 とされています。
現行制度と改正案の比較
在留資格変更・在留期間更新
| 許可期間 | 現行(窓口) | 現行(オンライン) | 改正案(窓口) | 改正案(オンライン) |
|---|---|---|---|---|
| 3か月以下 | 6,000円 | 5,500円 | 10,000円 | 10,000円 |
| 3か月超6か月以下 | 6,000円 | 5,500円 | 18,000円 | 15,000円 |
| 6か月超1年未満 | 6,000円 | 5,500円 | 25,000円 | 21,000円 |
| 1年 | 6,000円 | 5,500円 | 33,000円 | 27,000円 |
| 1年超3年未満 | 6,000円 | 5,500円 | 48,000円 | 42,000円 |
| 3年以上5年未満 | 6,000円 | 5,500円 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 6,000円 | 5,500円 | 75,000円 | 65,000円 |
永住許可
| 現行 | 改正案 | |
|---|---|---|
| 窓口申請 | 10,000円 | 200,000円 |
これまで更新・変更は一律料金でしたが、改正後は実際に許可される在留期間に応じた段階制となります。
なぜここまで手数料が引き上げられるのか
今回の参考資料では、積算方法まで具体的に公表されています。
① 審査に要する実費
まず、審査そのものに必要な費用として、
- 人件費:約6,300円
- システム・事務費など:約3,300円
合計で約1万円と積算されています。
② 応益的要素
次に、「外国人の出入国及び在留の公正な管理」に必要な費用として、
- 入管庁予算の一部
- 外国人受入れ・共生施策関連経費
などを含め、 約572億円 と試算されています。
これを中長期在留外国人数(約291万人)で割り、
1年間あたり約2万円
という応益的要素を算定しています。
なお、資料では
在留状況が良好な外国人に対する優遇措置として、在留期間が長くなるほど応益的要素の増加割合が低くなるようにする
と説明されています。
③ 政策的要素
さらに、
- オンライン申請の促進
- 窓口混雑の緩和
を目的として、オンライン申請は窓口申請より3,000円~1万円安く設定
されています。
永住許可が20万円となる理由
今回、最も注目を集めているのが、
永住許可手数料:10,000円 → 200,000円
への改定です。
参考資料では、
- 永住審査は通常の更新等より審査時間を要するため、審査実費は約2万円
- 永住許可後の平均在留期間は約13.5年
- 在留期間5年の場合の応益的要素(約6万円)の約3倍として18万円
と積算し、2万円+18万円=20万円 という考え方が示されています。
参考「在留許可手数料の積算について(案) 出入国在留管理庁」
手数料の減額・免除制度も創設
今回の改正案では、高額化する一方で、生活困窮者等への配慮も盛り込まれています。
減額対象となるのは、
- 生活保護法に規定する要保護者に準ずる程度に生活に困窮していること
- 人道上の配慮を要すること
の両方を満たす者です。
例えば、
- 難民認定・補完的保護対象者
- 人道的配慮による特定活動への変更
- 人身取引被害者
- 児童養護施設入所者
- 指定難病患者
- 重度障害児等
などがガイドライン案で例示されています。
また、
- 在留資格変更・更新は1万円まで減額
- 永住許可は2万円まで減額
できる制度が設けられる予定です。
さらに、外交・公用に関する在留資格などについては、手数料免除の規定も設けられています。
手数料が決まるポイント
今回の改正案では、「申請した期間」ではなく、実際に許可された在留期間によって手数料が決まります。
例えば、5年を希望して申請したとしても、実際に1年しか許可されなければ、納付する手数料は「1年」の区分となります。これは政令案で、許可に伴い決定される在留期間ごとに手数料額が定められています。
また、オンライン申請を利用すれば、上記の通り区分に応じて手数料が安くなります。今後は、オンライン申請を活用するメリットがこれまで以上に大きくなるということになります。
所感
今回の改正案は、外国人ご本人や外国人を雇用する企業にとって、特に永住許可や長期の在留期間更新を行う際に、これまで以上に大きな経済的負担となることは間違いありません。
また、私が日頃から入管業務に携わる中でも、在留資格に関する審査は年々厳格になってきていると感じています。
だからこそ、日本で安心して長く生活し、働き続けるためには、在留資格の更新や永住申請の直前だけ準備するのではなく、日頃から法令を遵守し、適正な生活を積み重ねていくことが何より大切です。
例えば、
- 税金を期限までに納付すること
- 年金や健康保険料を滞納しないこと
- 社会保険へ適正に加入すること
- 交通違反を含め、法律違反や犯罪行為をしないこと
- 在留資格で認められた活動内容を守ること
これらは、一見すると当たり前のことばかりです。しかし、その「当たり前」を日々積み重ねているかどうかが、将来の在留資格更新や永住許可の審査において重要な判断材料となる可能性があります。
また、外国人を雇用する企業においても、社会保険への適正加入や労働関係法令の遵守など、法令に則った受入れ体制を整えておくことが、これまで以上に重要になるでしょう。
制度が大きく変わろうとしている今だからこそ、申請の時だけ対応するのではなく、日頃から適正な在留管理を意識していただきたいと思います。
当事務所でも、今後の制度改正の動向や正式な公布内容を引き続き注視しながら、外国人の皆様や受入企業の皆様に正確で分かりやすい情報をお届けするとともに、安心して日本で生活し、働き続けられるようサポートしてまいります。


