こんにちは。
神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西・猪名川など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
終活(相続・遺言・後見)と在留資格(VISA・帰化申請)を専門に、地域に根ざしたサポートを行っています。
最近、ある在日韓国人のご家族に関する調査・手続きを進める中で、
「日本では何十年も前に亡くなっているのに、韓国側には死亡申告がされていなかった」
というケースに関わる機会がありました。
実はこれ、決して珍しい話ではありません。
特に、
- 戦前・戦後から日本に居住しているご家族
- 高齢世代の戸籍整理
- 相続や家族関係証明書の取得
などの場面で、初めて発覚することがあります。
今回は、韓国総領事館へ提出する前段階として、
- なぜこういうことが起こるのか
- 日本側でどのような書類を集める必要があるのか
- 実際にどこで苦労しやすいのか
- 手続きを放置するとどのような問題が起こり得るのか
を、一般的な事例としてまとめたいと思います。
なお、今回の記事は【前編】です。
次回の【後編】では、実際に韓国総領事館へ提出した際の、
- 実際に必要なもの
- 手続きの注意点
- 所要時間や雰囲気
などを、実務ベースでまとめます。
「日本では死亡している」のに、韓国では生存扱い?
日本で亡くなった場合、日本の市役所へ死亡届を提出します。
しかし、韓国籍の方の場合、
- 日本の死亡届
- 韓国側の死亡申告
は別手続になります。
そのため、日本では火葬・埋葬が終わり、日本の役所に死亡届を出していても、
韓国への手続きが終わっていないと
韓国の家族関係登録簿上では、まだ生存状態のまま残っています。
なぜ手続きをしていないのか
これは特に昔の世代では珍しくありません。
当時は、
- 日本で手続きすれば終わりと思っていた
- 韓国側への届出制度が十分知られていなかった
- 高齢の家族しか事情を知らなかった
- 世代交代で情報が引き継がれていなかった
- 特に支障がなかった
というケースが多くあります。
そして近年になって、
- 相続
- 不動産処分
- 戸籍整理
- 国籍確認
などをきっかけに発覚することがあります。
韓国側へ死亡申告をしていないと、何が起こるのか
この手続きで思うは、
「今すぐ大きな問題になるわけではない」
一方で、
「将来的に家族が困る可能性は十分ある」
ということです。
① 韓国の家族関係登録簿に故人が残り続ける
日本では亡くなっていても、韓国側では生存扱いのままとなるため、
- 家族関係証明書
- 基本証明書
などに故人情報が残り続けることがあります。
その結果、後の世代が書類を取得した際に、
「なぜまだ生きている扱いなのか?」
となり、追加説明や追加手続きが必要になる場合があります。
何より、相続手続きは止まると思われます。
② 相続手続きで関係整理が複雑になる可能性
相続の場面では、
- 誰が相続人なのか
- いつ亡くなったのか
- 親族関係がどうなっているのか
を確認するため、戸籍や家族関係証明書を整理することがあります。
その際、韓国側で死亡申告が未了だと、
- 日本側と韓国側で情報が一致しない
- 韓国の証明書上では生存扱いになっている
- 親族関係の説明が必要になる
など、追加の確認が必要になる可能性があります。
特に世代が進むほど、
- 当時を知る人が少ない
- 資料が不足している
- 古い記録が分かりにくい
という状況になりやすく、手続きがさらに複雑になることがあります。
③ 高齢世代しか事情を知らないケースが多い
今回特に感じるのは、
「事情を知っている人が限られている」
という点です。
過去何十年も前の手続きになりますので、
世代交代が進むと、
「そもそも何が未了なのか分からない」
状態になりやすいです。
実は一番大変なのは「情報そのものが曖昧」なこと
実際に準備を進める中で一番苦労するのは、
「そもそも正確な情報がない」
という点でした。
例えば、
- 両親の正確な生年月日が分からない
- 韓国の本籍地が不明
- いつ日本へ来たのか分からない
- 当時の漢字表記が曖昧
- 家族の記憶も断片的
という事態になります。
高齢の依頼者が、自分の両親について手続きをする
という構図になることも多く、知っている人もほとんどいないのです。
一方で、話は戦前までさかのぼる場合があり、
- 当時を知る人がほとんどいない
- 古い資料が残っていない
- 記憶を頼りに整理するしかない
という状況になります。
日本国籍ではないために起こること
日本国籍を有する人の場合、
役所で戸籍謄本等を取得することで、過去に遡って
生年月日や家族関係、本籍地などを比較的容易に確認できます。
一方で、戦前から日本で暮らしてきた在日韓国人でも、
日本の戸籍がないため、過去の事実を調べようと思っても、
調べられないことがあります。
「見えにくい手続き」
この手続きは、
- どこへ行けばいいのか
- 何を集めればいいのか
- 何を基準に確認するのか
- どこまで資料が必要なのか
が分かりにくい分野かもしれません。
一生のうち何度も経験する手続きではありませんので
「何から始めればいいか分からない」
という方が多いのも自然だと思います。
最後に
戸籍や死亡届の整理は、
単なる事務ではなく「家族の歴史整理」でもある
ということです。
特に在日韓国人のご家庭では、
- 世代交代
- 相続
- 空き家問題
- 親族関係の整理
の中で、昔の未了手続きが見つかることがあります。
もし、
「うちも昔の戸籍関係がよく分からない」
という場合は、一度整理してみることをおすすめします。
相続手続きの時に、大変な作業になるかもしれませんので。
今回は、日本側での準備や書類収集についてまとめました。
次回の【後編】では、実際に韓国総領事館での手続きについて、
- 必要な書類
- 窓口対応
- これから手続きする人への注意点
などを、できるだけ実務的に整理して共有したいと思います。


