#80 韓国に死亡届が出されていなかった――今も意外と多い「在日韓国人家庭の未了手続き」【前編】

01相続・遺言

こんにちは。
神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西・猪名川など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
終活(相続・遺言・後見)と在留資格(VISA・帰化申請)を専門に、地域に根ざしたサポートを行っています。

最近、ある在日韓国人のご家族に関する調査・手続きを進める中で、

「日本では何十年も前に亡くなっているのに、韓国側には死亡申告がされていなかった」

というケースに関わる機会がありました。

実はこれ、決して珍しい話ではありません。

特に、

  • 戦前・戦後から日本に居住しているご家族
  • 高齢世代の戸籍整理
  • 相続や家族関係証明書の取得

などの場面で、初めて発覚することがあります。

今回は、韓国総領事館へ提出する前段階として、

  • なぜこういうことが起こるのか
  • 日本側でどのような書類を集める必要があるのか
  • 実際にどこで苦労しやすいのか
  • 手続きを放置するとどのような問題が起こり得るのか

を、一般的な事例としてまとめたいと思います。

なお、今回の記事は【前編】です。

次回の【後編】では、実際に韓国総領事館へ提出した際の、

  • 実際に必要なもの
  • 手続きの注意点
  • 所要時間や雰囲気

などを、実務ベースでまとめます。


「日本では死亡している」のに、韓国では生存扱い?

日本で亡くなった場合、日本の市役所へ死亡届を提出します。

しかし、韓国籍の方の場合、

  • 日本の死亡届
  • 韓国側の死亡申告

は別手続になります。

そのため、日本では火葬・埋葬が終わり、日本の役所に死亡届を出していても、
韓国への手続きが終わっていないと

韓国の家族関係登録簿上では、まだ生存状態のまま残っています。


なぜ手続きをしていないのか

これは特に昔の世代では珍しくありません。

当時は、

  • 日本で手続きすれば終わりと思っていた
  • 韓国側への届出制度が十分知られていなかった
  • 高齢の家族しか事情を知らなかった
  • 世代交代で情報が引き継がれていなかった
  • 特に支障がなかった

というケースが多くあります。

そして近年になって、

  • 相続
  • 不動産処分
  • 戸籍整理
  • 国籍確認

などをきっかけに発覚することがあります。


韓国側へ死亡申告をしていないと、何が起こるのか

この手続きで思うは、

「今すぐ大きな問題になるわけではない」

一方で、

「将来的に家族が困る可能性は十分ある」

ということです。


① 韓国の家族関係登録簿に故人が残り続ける

日本では亡くなっていても、韓国側では生存扱いのままとなるため、

  • 家族関係証明書
  • 基本証明書

などに故人情報が残り続けることがあります。

その結果、後の世代が書類を取得した際に、

「なぜまだ生きている扱いなのか?」

となり、追加説明や追加手続きが必要になる場合があります。

何より、相続手続きは止まると思われます。


② 相続手続きで関係整理が複雑になる可能性

相続の場面では、

  • 誰が相続人なのか
  • いつ亡くなったのか
  • 親族関係がどうなっているのか

を確認するため、戸籍や家族関係証明書を整理することがあります。

その際、韓国側で死亡申告が未了だと、

  • 日本側と韓国側で情報が一致しない
  • 韓国の証明書上では生存扱いになっている
  • 親族関係の説明が必要になる

など、追加の確認が必要になる可能性があります。

特に世代が進むほど、

  • 当時を知る人が少ない
  • 資料が不足している
  • 古い記録が分かりにくい

という状況になりやすく、手続きがさらに複雑になることがあります。


③ 高齢世代しか事情を知らないケースが多い

今回特に感じるのは、

「事情を知っている人が限られている」

という点です。

過去何十年も前の手続きになりますので、

世代交代が進むと、

「そもそも何が未了なのか分からない」

状態になりやすいです。


実は一番大変なのは「情報そのものが曖昧」なこと

実際に準備を進める中で一番苦労するのは、

「そもそも正確な情報がない」

という点でした。

例えば、

  • 両親の正確な生年月日が分からない
  • 韓国の本籍地が不明
  • いつ日本へ来たのか分からない
  • 当時の漢字表記が曖昧
  • 家族の記憶も断片的

という事態になります。

高齢の依頼者が、自分の両親について手続きをする

という構図になることも多く、知っている人もほとんどいないのです。
一方で、話は戦前までさかのぼる場合があり、

  • 当時を知る人がほとんどいない
  • 古い資料が残っていない
  • 記憶を頼りに整理するしかない

という状況になります。


日本国籍ではないために起こること

日本国籍を有する人の場合、

役所で戸籍謄本等を取得することで、過去に遡って
生年月日や家族関係、本籍地などを比較的容易に確認できます。

一方で、戦前から日本で暮らしてきた在日韓国人でも、
日本の戸籍がないため、過去の事実を調べようと思っても、
調べられないことがあります。


「見えにくい手続き」

この手続きは、

  • どこへ行けばいいのか
  • 何を集めればいいのか
  • 何を基準に確認するのか
  • どこまで資料が必要なのか

が分かりにくい分野かもしれません。

一生のうち何度も経験する手続きではありませんので

「何から始めればいいか分からない」

という方が多いのも自然だと思います。


最後に

戸籍や死亡届の整理は、
単なる事務ではなく「家族の歴史整理」でもある

ということです。

特に在日韓国人のご家庭では、

  • 世代交代
  • 相続
  • 空き家問題
  • 親族関係の整理

の中で、昔の未了手続きが見つかることがあります。

もし、

「うちも昔の戸籍関係がよく分からない」

という場合は、一度整理してみることをおすすめします。

相続手続きの時に、大変な作業になるかもしれませんので。

今回は、日本側での準備や書類収集についてまとめました。

次回の【後編】では、実際に韓国総領事館での手続きについて、

  • 必要な書類
  • 窓口対応
  • これから手続きする人への注意点

などを、できるだけ実務的に整理して共有したいと思います。


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