#78 空き家対策|実家が空き家になる前に、今できること

01相続・遺言

こんにちは。神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西・猪名川など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
終活(相続・遺言・後見)など、地域に根ざしたサポートを行っています。

近年、「空き家問題」や「所有者不明土地」という言葉をニュースで耳にする機会が増えいます。

実際、近所を散歩していても「あの家、ずっと空き家だなあ」と思うことが皆さんにもあるのではないでしょうか。日本では空き家が年々増加しており、所有者が分からない土地も深刻な社会問題となっています。
国土交通省の調査では、所有者不明土地は410万ヘクタール、九州本島を超える規模とも言われています。

しかし、私は相続や遺言の現場に関わる中で、これらの問題の根本原因は非常にシンプルだと感じています。

それは、

「相続の準備がされていない」

ということです。

そして、その予防策として極めて有効なのが「公正証書遺言」だと考えています。

今日は、なぜ公正証書遺言が空き家・所有者不明土地問題の“予防”につながるのかを、実務的な視点から整理してみたいと思います。


空き家・所有者不明土地は“突然”生まれるわけではない

空き家や所有者不明土地は、ある日突然発生するわけではありません。

多くの場合、

  • 相続人同士で話し合いがまとまらない
  • 誰が引き継ぐのか決まらない
  • 遠方に住んでいて管理できない
  • 相続登記を放置する

こうした“小さな放置”の積み重ねによって発生します。

さらに怖いのは、そのまま次の相続が起きることです。

例えば、

父が亡くなる

相続登記をしない

子ども世代でさらに相続発生

相続人が10人、20人に増える

というケースは、実際に珍しくありません。

こうなると、もう誰が責任を持つのか分からなくなってしまいます。


最大の原因は「遺産分割協議」が止まること

実務上、最も多いのは「遺産分割協議」が止まってしまうケースです。

  • 一人だけ連絡が取れない
  • 仲が悪い
  • 話し合いをしたくない
  • 誰も不動産を欲しがらない

これで、相続登記は進まなくなります。

2024年4月から相続登記が義務化されましたが、実際には「やりたくても進まない」というケースも少なくありません。

つまり、問題は制度だけではなく、“意思決定が止まること”にあるのです。


公正証書遺言が強い理由①

「遺産分割協議」を回避できる

ここで非常に重要になるのが、公正証書遺言です。

公正証書遺言があると、

「この不動産は長男へ」
「この土地は売却して分配する」

など、財産の承継先を事前に明確にできます。

その結果、相続人全員での遺産分割協議を経なくても、相続登記を進めやすくなります。

つまり、

“話し合いが止まる”

という最大のリスクを、事前に大きく減らすことができるのです。


公正証書遺言が強い理由②

検認不要で、すぐ動ける

自筆証書遺言の場合、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になります。

しかし、公正証書遺言は公証役場で作成されるため、検認が不要です。

つまり、

  • すぐに登記に動ける
  • 売却できる
  • 管理を始められる

というスピード感があります。

相続では、「熱量があるうちに動く」というのは本当に重要です。

時間が経てば経つほど、
「また今度でいいか」
となり、結果として放置につながっていきます。


公正証書遺言が強い理由③

“管理責任”を明確にできる

所有者不明土地の背景には、

「誰が管理するのか分からない」

という問題があります。

固定資産税、草刈り、近隣対応、建物管理――。

不動産は、持っているだけで責任が発生します。

公正証書遺言で、

  • 誰に引き継ぐのか
  • なぜその人に託すのか
  • どう管理してほしいのか

を明確にしておくことは、単なる財産分配ではありません。

“責任の承継”

をはっきりさせる行為でもあるのです。

また、

「この空き家の維持費として預金も合わせて残す」

という設計を行うケースもあります。

こうした細かな設計ができるのも、公正証書遺言の大きなメリットです。


「うちは仲が良いから大丈夫」は危ない

相続相談の現場でよく聞く言葉があります。

「うちは家族仲が良いから揉めません」

もちろん、それは素晴らしいことです。

ただ、実際には、

  • 配偶者が亡くなる
  • 子ども世代の生活環境が変わる
  • 認知症になる
  • 次の相続が起きる

ことで状況は大きく変わります。

そして何より、“誰も悪気なく放置してしまう”ケースが非常に多いのです。


最後に

予防に勝る対策はない

一度、所有者不明土地になってしまうと、元に戻すには膨大な時間と費用がかかります。

場合によっては、

  • 戸籍調査
  • 相続人調査
  • 家庭裁判所手続
  • 不在者財産管理人

などが必要になることもあります。

そうなる前にできること。

それが、公正証書遺言です。

遺言は、「財産をどう分けるか」だけではありません。

  • 家族への最後の責任
  • 地域への責任
  • 次世代への責任

でもあると、私は思っています。

空き家や所有者不明土地を増やさないためにも、“今のうちに準備する”という視点を、多くの方に持っていただければと思います。

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