こんにちは。神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西・猪名川など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。終活(相続・遺言・後見)を中心に、地域に根ざしたサポートを行っています。
今回は、Yahoo!ニュースでも取り上げられている成年後見制度の見直し(終身制の廃止)について書いてみました。
結論から言うと、今回の見直しは
「一生続く制度」から「必要なときだけ使える制度」へと見直しが検討されているという大きな転換です。
そもそも、成年後見制度って何?
成年後見制度は、
一言でいうと、認知症などで判断力が低下した方を法律的にサポートする制度です。
たとえば、銀行の手続き、不動産の売却、施設への入所契約など——こういった「重要な手続き」を、本人に代わって進めることができます。
一見すると便利な制度ですが、「使いにくい制度」と言われているのを何度も聞いてきました。
一度始まると、亡くなるまで続く
80歳のAさんは一人暮らし。最近少し物忘れが増えてきました。
Aさんには空き家があり、こう考えています。
「あの家を売って、そのお金で老人ホームに入ろう」
ところが、不動産を売るには売買契約が必要です。これは法律上とても重要な契約なので、判断能力に不安があると見なされると、その契約が後から無効になる可能性があります。
不動産会社としても、「このまま進めると後でトラブルになる」と判断します。そこで言われるのが、
「成年後見人をつけてください」
という一言です。
後見人がつけば、本人に代わって適法に契約ができます。空き家は売れて、老人ホームにも入れる。本来の目的は、ここで達成されます。
でも、ここで終われない
現行制度では、不動産の売却が終わっても、後見はそのまま続きます。
日常の財産管理、お金の使い方、あらゆる契約——
すべて後見人の管理下に入り続けます。原則として、亡くなるまでです。
何が問題なのか
■ 自分のお金なのに自由に使えないことがある
「孫にお祝いをあげたい」「たまには贅沢をしたい」
こうした日常的な支出にも、後見人の判断が必要になることがあります。
■ 費用が長くかかる
専門職(弁護士など)が後見人になると、月2万〜6万円程度これが長期間続くため、数百万円規模になることもあります。
■ 後見人を変えられない
ここは非常に重要なポイントです。法定後見制度では、後見人は 家庭裁判所 が選任します。
そのため、
- 相性が合わない
- 対応に不満がある
- 家族に代わってほしい
といった理由だけでは、簡単には変更できません。
実際に、「後見人を交代できない」こと自体が問題として指摘されています
なぜ、こんな仕組みだったのか
理由は明確で、本人を「守ること」を最優先にしているからです。
- 詐欺から守る
- 財産を守る
その結果、本人の意思や自由が制限されやすい構造になっていました。
そして今回の見直しへ
こうした課題を踏まえ、現在、制度の見直しが進められています。
主な方向性は次のとおりです。
■ 必要性がなくなれば終了できる仕組みの検討
判断能力が回復しなくても、支援の必要がなくなれば終了できる仕組みが検討されています
■ 必要な範囲だけ支援する仕組み
特定の行為だけ代理する」など、支援内容に応じて制度を選ぶ仕組みが検討されています
■ 後見人の交代の柔軟化
現在は難しいとされる後見人の交代についても、新たな解任事由の検討が進められています
※厚生労働省「成年後見制度の意直し等について」
一言でいうと
「一生続く制度」から
「必要なときだけ使える制度へと見直しが検討されている」
この見直しの意味
これまでの成年後見制度は、「使いにくい制度」という側面があったのではないかと思いますが、
しかし今後は、「必要なときに、必要な分だけ使う制度」へと変わっていく可能性があります。
最後に
今回の見直しは、単なる制度変更ではありません。「守るために制限する」から
「本人の意思を尊重する」という、考え方そのものの転換ではないかと思います。
この流れは、今後の終活や老い支度を考えるうえでも、非常に重要になっていくと感じています。
ご相談について
成年後見制度のこと、遺言や相続のこと、老後の備えについて気になることがあれば、お気軽にご相談ください。特に任意後見公正証書の作成支援なども受けております。
阪神地域を中心に、お一人おひとりの状況に合わせて丁寧にお話を伺っています。


