#29 令和7年10月施行「経営・管理ビザ」大改正──日本で本気で事業をする人のための新ルール

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こんにちは。尼崎・阪神エリアを拠点に活動している行政書士の小田晃司です。
在留資格(ビザ申請)を中心に、外国人の起業・雇用支援を行っています。

令和7年10月16日から、「経営・管理」の在留資格が大きく変わります。
今回の改正は、単なる“ハードルの引き上げ”ではなく、本気で日本で事業をしたい人にこそ門戸を開く制度改正です。


改正の主なポイント

① 常勤職員の雇用が必須に

これまで一人会社でも申請できましたが、今後は日本人などを1人以上雇うことが条件になります。
対象は日本人・永住者・定住者など、安定した在留資格を持つ人に限られます。
単独経営ではなく「雇用を生み出す経営」へ、方針が明確になりました。


② 資本金は3,000万円以上へ大幅引き上げ

従来の500万円から一気に6倍。
安定した経営基盤を持つ事業だけが対象になります。
個人事業の場合も、事業所や人件費などを含めて3,000万円相当の投下資金が求められます。
一時的な“資金見せ”は通用しません。


③ 日本語能力(B2相当以上)の要件が新設

申請者または常勤職員のどちらかが、JLPT N2以上等の日本語力を持っている必要があります。
経営者自身が日本語で交渉・説明できるか、または補佐する日本語担当者がいるかが重要になります。


④ 経歴要件が明確化

次のいずれかを満たす必要があります。

  • 経営・管理または関連分野の博士・修士・専門職学位を持つ
  • 経営や管理の実務経験が3年以上ある

“名ばかり経営者”ではなく、専門性に基づいた実務経験が求められます。


⑤ 事業計画書は「専門家の確認」が必須に

提出する計画書について、中小企業診断士・税理士・公認会計士などによる確認が義務化されます。
実現可能性や採算性が、より厳格に審査される時代になります。


その他の要件と留意点

  • 自宅兼オフィスは原則NG(独立した事業所が必要)
  • 社会保険・税金の未納は更新不可
  • 長期出国は「事業実態なし」と判断される恐れ

形式ではなく、実際に事業を運営しているかが問われます。


既存の「経営・管理」ビザをお持ちの方へ

令和10年10月16日までの3年間は経過措置がありますが、
更新時には経営実態や改善見込みを踏まえて個別判断されます。
ただし3年後には新基準に完全移行します。
今のうちに体制整備を始めることが重要です。


なぜここまで厳しくなったのか?

背景には、形式的な会社設立や「ペーパーカンパニー」の増加があります。
資本金だけ形を整えて実態が伴わないケースが目立ち、
結果として日本の制度への信頼が揺らぎました。

今回の改正は「排除」ではなく、
本気の経営者を守るための再設計です。
事業を通じて雇用を生み、地域に貢献できる外国人起業家を支援する流れに変わっていきます。


今後の展望と小田の見解

短期的には…

  • 新規申請のハードル上昇
  • 準備期間の長期化
  • 専門家支援のニーズ拡大

中長期的には…

  • 質の高い起業家の定着
  • 銀行・行政からの信頼性向上
  • 永住許可への道筋がより明確に

結果として、「経営・管理」ビザ全体の信頼度が高まり、
外国人経営者が社会的に評価される時代が来るでしょう。


まとめ

今回の改正を一言でいえば――
「量から質へ」外国人経営者受け入れの転換点です。

ハードルが上がるように見えますが、
それは日本で真剣に事業を行いたい方にとって、
むしろ“信頼を得るチャンス”でもあります。


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