こんにちは。神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
公正証書遺言や相続のサポートを中心に、「想いをかたちに残す」お手伝いをしています。
家族が安心して暮らせるように、法律の専門家として、一人ひとりの状況に寄り添ったご提案を行っています。
今回は前回のブログの続きになります。
最近、子どものいないご夫婦から
「自分たちは特に遺言書を作らなくてもいいですよね?」
というご相談をよく受けます。
実は、このケースこそ“相続トラブル”になりやすいのです。
「配偶者がすべて相続する」とは限らない現実
「子どもがいないから、もし自分に何かあっても全財産は配偶者が相続するだろう」と思われている方は多いのではないでしょうか。
しかし、これは大きな誤解です。
民法の規定では、子どもがいない場合、配偶者と一緒に兄弟姉妹(または甥姪)が法定相続人になります。
具体的には、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の割合で相続することになります。
例えば、ご主人が亡くなり、奥様とご主人の妹2人が相続人になった場合──
奥様が75%、妹たちが25%を分け合うことになります。
銀行口座ひとつ動かすにも、全員の署名・実印が必要になるのです。
つまり、遺言書がなければ、長年連れ添った配偶者だけにすべてを残すことはできないのです。
実際に起こりうるトラブル
ご夫婦にとっては「すべて妻に残すのが当然」と思っていても、法律の世界では“当然”ではないという現実があります。
私がこれまで相談を受けてきた中にも、このようなケースがありました。
ご主人を亡くされた奥様から、
「預金を解約したいのに、夫の兄弟全員の同意が必要だと銀行に言われて困っている」
というご相談です。
ご主人には3人の兄弟姉妹がいて、そのうち1人はすでに他界されており、その方の子ども(甥姪)2人にも連絡を取る必要がありました。
普段から交流があればまだしも、何十年も会っていない親族に突然連絡を取り、遺産分割の話をするのは、精神的にも大きな負担です。
中には連絡先すらわからないケースもあります。
手続きが進まない日々の不安
相続登記や預金の解約、証券口座の名義変更など、あらゆる手続きで相続人全員の同意が必要になります。
一人でも協力が得られなければ、手続きは止まってしまいます。
残された配偶者が高齢の場合、この手続きの負担は想像以上に大きなものです。
「いつ終わるのか」という不安を抱えながら過ごす日々は、本当につらいものがあります。
遺言書があれば防げること
ここで知っておいていただきたい大切なポイントがあります。
それは、兄弟姉妹には遺留分がないということです。
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された最低限の取り分のことですが、これは配偶者や子ども、父母には認められていても、兄弟姉妹には認められていません。
つまり、遺言書に「全財産を配偶者に相続させる」と明記しておけば、兄弟姉妹は一切の権利を主張できません。
配偶者の生活を確実に守ることができるのです。
遺言書があるだけで、残された配偶者は「誰にも遠慮せずに、自分の生活を守れる」──
その安心感こそ、遺言書の最大の価値です。
公正証書遺言をおすすめする理由
遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がありますが、私は公正証書遺言をおすすめしています。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書です。
形式面での不備がなく、家庭裁判所の検認手続きも不要なため、相続が発生した際の手続きが格段にスムーズです。
また、原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。
兵庫県内の公証役場(神戸・西宮・尼崎など)とも日頃から連携しており、
ご希望に応じてスケジュール調整までサポートしています。
作成の流れとサポート
公正証書遺言を作成する際の大まかな流れは次のとおりです。
- 内容の整理:誰に何を相続させるかを明確にする
- 必要書類の準備:戸籍謄本、不動産の登記事項証明書、預金通帳のコピーなど
- 公証役場との調整:日時の予約と内容の事前確認
- 当日の作成:証人2名の立ち会いのもと、公証人が遺言書を読み上げ、署名押印
証人については、推定相続人や未成年者はなれないため、行政書士がお引き受けすることも可能です。
行政書士は、遺言書の原案作成、必要書類の収集、公証役場との調整など、作成に向けた一連の手続きをサポートできます。
「何から始めればいいかわからない」という方も、安心してご相談ください。
今だからこそ、準備を
「まだ元気だから大丈夫」「考えるのは縁起が悪い」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、遺言書は“もしものとき”のための保険のようなものです。
元気なうちに準備しておくことで、お互いに安心して日々を過ごすことができます。
子どものいないご夫婦だからこそ、大切なパートナーの将来を守るために、「今」できることがあります。
遺言書づくりは“誰かを想う行動”です。
思いを形にしておくことで、残される人の心の負担を軽くすることができます。
「いつか」ではなく、「今」準備しておきましょう。
無料相談のご案内(全国・オンライン/電話対応)
当事務所では、公正証書遺言の作成を全国からオンラインで、
また、IT操作が不安な方にはお電話ヒアリングでもサポートしています。
初回相談は無料です。チェックだけでも構いません。
お気軽にご相談ください。


