こんにちは。神戸・西宮・尼崎・伊丹・宝塚・川西など、兵庫県の阪神地域を中心に活動している行政書士の小田晃司です。
公正証書遺言や相続のサポートを中心に、「想いをかたちに残す」お手伝いをしています。
家族が安心して暮らせるように、法律の専門家として、一人ひとりの状況に寄り添ったご提案を行っています。
「子どもがいないから、遺言書は不要」は誤解です
「私たち夫婦には子どもがいないから、遺言書がなくても配偶者にすべて渡るはず」
そう思っている方は、少なくありません。
長年連れ添った夫婦であれば、お互いがすべてを相続するのは当然のように感じられるでしょう。
けれど実は、子どものいない夫婦こそ、遺言書が必要なケースが多いのではないかと思う時があります。
なぜなら、遺言書がない場合、配偶者以外の親族──たとえば、故人の兄弟姉妹や、すでに亡くなっている兄弟姉妹の子(甥・姪)──が相続人になることがあるからです。
「ほとんど会ったこともない義理の兄弟と遺産を分けなければならない」
そんな想定外の事態が、現実に起こります。
大切な配偶者を守るために、今知っておくべきことをお伝えします。
子どもがいない場合の相続──誰が相続人になるのか
配偶者と親(直系尊属)が相続人になる場合
子どもがいない場合、配偶者と一緒に相続人になるのは故人の親(直系尊属)です。
相続の割合は、配偶者が3分の2、親が3分の1です(民法900条2号)。
ご両親がご健在であれば、多くの場合は話し合いで穏やかに解決できます。
親も、残された配偶者の生活を第一に考えてくれることが多いからです。
配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合
問題になりやすいのは、直系尊属(親)がすでに亡くなっている場合です。
このとき配偶者と一緒に相続人になるのは、故人の兄弟姉妹です。
相続の割合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です(民法900条3号)。
兄弟姉妹が複数いれば、この4分の1をさらに分け合います。
また、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合には、その子(甥・姪)が一代限りで代わりに相続人となります(民法889条2項)。
※甥・姪が亡くなっていても、その子への代襲はありません。
なぜトラブルになりやすいのか
配偶者と兄弟姉妹(または甥・姪)の関係は、必ずしも良好とは限りません。
- 長年疎遠だった
- ほとんど面識がない
- 配偶者を「他人」と感じている
- 経済的に困窮している
こうした事情があると、「法律で決まった取り分を受け取りたい」という主張が出やすくなります。
さらに、主な財産が自宅などの不動産で現金化しにくい場合、換価や代償の検討が必要となり、
結果として「家を売らざるを得ない」という事態に発展することもあります。
遺言書があれば、配偶者をしっかり守れます
このような事態を防ぐ最も確実な方法が、遺言書です。
兄弟姉妹には遺留分がありません
子や親(直系尊属)には「遺留分」という最低限保障された取り分がありますが、兄弟姉妹には遺留分がありません(民法1042条)。
したがって、遺言書で「全財産を配偶者に相続させる」と明記すれば、兄弟姉妹が遺留分を理由に請求することはできません。
※子や親が相続人となるケースでは遺留分に配慮が必要です。
遺留分侵害額請求権の期間制限は、相続開始と侵害を知った時から1年、または相続開始から10年です(民法1048条)。
配偶者の生活を守るために
遺言書があることで、残された配偶者は次のような安心を得られます。
- 住み慣れた自宅に住み続けられる
- 預貯金を生活費や療養費に充てられる
- 疎遠な親族との交渉や分割協議を避けられる
- 心身の負担が大きく軽減される
公正証書遺言を選ぶべき理由
遺言書には、自筆で書く「自筆証書遺言」と、公証人が作成する「公正証書遺言」があります。
子どものいない夫婦には、特に公正証書遺言をおすすめします。以下に加えて当事務所のサポート料金は低価格です。
確実性が高い
自筆証書遺言は方式ミスで無効になるおそれがあります。
公正証書遺言なら、公証人が法律に沿って作成するため、形式不備の心配がありません。
紛失や改ざんの心配がない
自筆保管は紛失・隠匿・改ざんリスクが否定できません。
公正証書遺言は原本が公証役場で保管され、そうしたリスクを避けられます。
相続手続きがスムーズ
自筆証書遺言は発見後に家庭裁判所の検認が必要ですが、公正証書遺言は検認不要です。
銀行手続きや不動産登記を、比較的速やかに進められます。
兄弟姉妹との関係が悪化しにくい
公正証書遺言は、公証人と証人2名以上の立会いで作成されます(民法969条1号)。
手続の透明性が高く、「本当に本人の意思なのか」といった疑念を防げます。
近年は法務局の自筆証書遺言保管制度もあります(保管された自筆遺言は検認不要)。
ただし、内容の有効性までは保証されないため、確実性の点では公正証書遺言がより安心です。
注意しておきたいポイント
- 財産の内訳を把握しておく
不動産・預貯金・有価証券・保険・借入などを整理しておきましょう。
不動産は地番・家屋番号まで確認が必要です。 - 生命保険の受取人を確認する
生命保険金は受取人の固有財産であり、原則相続財産に含まれません。
配偶者を受取人にしておけば、兄弟姉妹に分ける必要はなく、速やかに現金を確保できます。 - 借金がある場合の注意
借金も相続の対象です。必要に応じて相続放棄(熟慮期間3か月)や限定承認を検討します。 - 夫婦それぞれが遺言書を作る
共同遺言は無効です。遺言は一身専属行為のため、夫婦それぞれが個別に作成する必要があります。
公正証書遺言作成の流れ
- 専門家への相談
家族構成・財産内容・希望を整理し、方針を固めます。 - 原案の作成
法的に有効で、想いが過不足なく伝わる文案に整えます。 - 必要書類の準備
戸籍・登記簿・預金情報・印鑑登録証明書などを揃えます。 - 公証役場での作成(証人2名立会い)
証人の欠格事由:未成年者、推定相続人・受遺者、その配偶者・直系血族など。 - 原本保管と副本受領
原本は公証役場に保管、ご本人に正本・謄本が交付されます。
専門家からのアドバイス──今できることを、今のうちに
「まだ若いから」「元気だから」と、遺言書を後回しにする方もいらっしゃいます。
けれど、万が一のことはいつ起こるかわかりません。
特に子どものいない夫婦では、遺言がないことで、残された配偶者が想像以上の負担を抱えることがあります。
疎遠な義理の兄弟との交渉、見知らぬ甥・姪との分割協議、住み慣れた家の処分――。
こうした事態を避ける最も確実な備えが、公正証書遺言です。
遺言書は「残される人への最後の贈り物」。
そして同時に、「相手を大切に思う気持ちを形にする愛情の証」でもあります。
夫婦で話し合い、お互いを守る準備を始めてみませんか。
まとめ──子どものいない夫婦こそ、遺言書を
子どものいない夫婦にとって、遺言書は「あったほうがいいもの」ではなく、なくてはならないものです。
公正証書遺言があれば、配偶者をしっかりと守れます。
兄弟姉妹には遺留分がないため、「全財産を配偶者に」という想いを確実に実現できます。
大切な人のために、今日からできる一歩を踏み出しましょう。
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